ダーク・ファンタジー小説

Re: White/Fang(過激グロ注意) ( No.8 )
日時: 2019/11/09 08:22
名前: 祝福の仮面屋 (ID: jo2UR50i)

White/Fang代陸節
「六根罪瘴燃ゆるが如し」







「くそッ!俺があん時残っていれば…!」
俺はバイクを飛ばす、貸して貰った奴だがWhite/Fangの隊員用にカスタマイズしてあるらしく、スピードも馬力も十分だ。
「何でレイヴンが今更…!」
「(考えられる可能性は二つ、一つは『俺達を殺す為に資金援助をしてきた』いや、そんな無策をやらかす程アホじゃねぇ…二つ目は『レイヴンに知られちゃいけない情報を知っちまった』これは大いにあり得る、そうとも来なけりゃ奴らが血なまこになって俺を探す辻褄が合わねえ)」
そう思っているうちに地下トンネルを抜ける、今は夕方だが旧赤レンガ倉庫に着く頃には夜になっているだろう、野郎…レイヴンは何を考えてやがる…!
「止まりなよ」
不意に声を掛けられる、俺は一瞬だけ硬直したがすぐにバイクを止めた。
「誰だ、お前」
声の主に名を名乗る様に聞く、すると黒髪の少年と白髪の少女は気味が悪い程にピッタリと笑い、名を名乗った。
「俺はクロト」
「私はハクト『レイヴン』専属の殺し屋、デス・ブラザーズサ!」
「……」
俺は有無を介さず臨戦態勢に入る
「それはいけない、ここは鎌倉」
「厄災の地だヨ?ここで暴れたら妖がみんな起きちゃう、横浜に着くのはそう遅くないヨ?」
「チッ」
「良い子だ、歩いて行こう」
「裏道があるからネ、そっちを通ろウ」
双子に為すがまま成されるがままについて行く、確かにここで戦うメリットはない、寧ろ眠っていた妖を起こし乱戦になるデメリットしかないのだ。
「(何だ…?この妙な既視感…、俺は、あの双子と会った事がある…?)」
「着いたよ」
「さぁさぁ、我らがリーダー『カンヘル』のお待ちかねダ」
俺の眼前にいた男、そいつに人の顔は無かった。いや、ここの住民じゃねぇ以上人間には変わらねえんだが奴には顔に似たホログラム映像が張り付いていた。
「アンタがリーダーか」
「あぁそうだな、お前が灰崎 佐之助であってるか?」
「あぁ、アンタがお探しの男が俺だ」
「ねぇカンヘル、私あの子好みかも」
女が艶っぽくも透き通った声で俺を好みだと言ってきた、正直ビビった
「あ、そうだ…この子返すね?」
俺の目の前に死体が投げられた、ドシャッと音を立てて眼前に滑り込んで来た死体は、俺の見知った人物だった。
「ゴロー!」
「そうそうゴローちゃんね?いつまで経っても貴方の居場所教えてくれないからぁ…ちょっとだけ遊んじゃった♪」
そう言った女は頬杖をつきながら笑う、女の手…いや、指にはゴローの物と思われる血がべっとりと付着していた。
「悪いな、カミラは少々サディストの気があってよ、ちょっと機嫌損ねるとすぐ拷問に走っちまう。」
「ちょっとカンヘルゥ、あたしそんな野蛮じゃないじゃない」
カミラと呼ばれた女は頬を膨らませる
「んなこたぁどうでもいい、要件を言え」
「おぉそうだったな、悪い悪い人と話すのは大好きでよぉ、こんなゲームはどうだ?」
「ゲーム?」
「あぁ、俺とお前が戦闘不能になるまで殺し合う単純なゲーム、天逆鉾の地下格と同じようなもんさ。だが、お前には少々ハンデを背負って貰うぜ?」
そうカンヘルが言うと三下が磔にされた少女を連れて来た、その少女は…
「ミズハ!」
「さ、佐之…?」
「テメェ…どう言うつもりだァ!」
「ッハハハハハッ!お前の知り合い!?なら益々丁度いいじゃねぇか!何のつもりかって?そのまんまだよ、俺とお前が戦って1分が経過する毎にあの女の指を切り落とす。」
最悪だ、俺が生きる為に親友すらも人質にしてしまうとは
「まぁいいや…!とっとと始めようゼェ!」
男…カンヘルが刀を手に一足飛びで間合いを詰めてくる、単調かつ単純、居合いで勝負を決める気か。だったら!
「オラァッ!」
「甘え!」
カンヘルが刀を抜き放った瞬間に回し蹴りを叩き込む、両者は弾かれ、構えを取る。
「ハッハァ!やるなぁアンタ!」
「テメェもよくやる」
俺は群ッと身を屈め前傾姿勢で突っ走る、相手は無論ストレートを撃ってくるが想定内、俺は相手のストレートをいなし圖怒音ッ!と強烈なブローをお見舞いしてやった。
「クッ…!」
カンヘルの顔が苦悶に歪む、だがしかし、その隙をみすみす見逃す拳豪ではない!
「まだまだァァァァァ!」
我流拳術奥義『玖頭龍』
上下左右斜からの玖乱撃を叩き込む!
「本当に…連打好きだな…!」
「おおおおおおおおおッ!」
肘、次に打ち下ろし、その次にフック、打はリバーブロー、アッパー、その逆を次々と叩き込む乱打はついにカンヘルに膝を突かせたのだが…
「はい1ぷーん、行きまーす♪」
ザクリ
「ーーー!ぎゃああああああああああ!」
「あらぁ、可愛い声ねぇ♪その苦悶に満ちた声をアタシに…も〜っと聞かせてちょうだい!」
「………っ!」
「余所見は良くねぇなぁ!」
怒牙鉈亜亜亜亜亜庵ッ!と雷にでも撃たれたかの様な激痛が走る、どうやらカンヘルの蹴りがもろに入ったらしい
「げぇ…っあ…」
俺は胃の中身を吐いた、ミズハが死んでしまう、なら俺が降参すれば指一本だけで済むんじゃないか?いや、奴らが開放してくれる訳がない、じゃあどうすれば良い?そんな事を考えている内に時間は刻々と過ぎ…
「2分経過〜♪」
ザクリ
「あぁあああぁ"ぁ"ぁ"ぁ"ぁ"ッ!」
また一本、落とされていく、俺のせいで、俺が決着を付けないから
『鴉や妖を狩る際にはレギオンの使用を許可します、まぁレギオンは色々使う機会が多いので使用権は貴方にありますけどね。』
そうだ、これは鴉狩りじゃないか、何をしようが、許される…!
「力を貸せよ…!相棒!」
俺はキューブを投げた
「また下らねえ手品を…おわぁ!?」
カンヘルが吹き飛ぶ、その下半身のない巨腕の魔人はカンヘルの腕を掴み、ゴキリと嫌な音を響かせ強引にへし折った。
「ぐああああああああああああッ!」
「相棒…そのまま抑えてろ…!」
俺は自身の式神…レギオンに命令をする、するとレギオンは命令に従いカンヘルの両腕を片手に掴んだ。
「ちと情けねぇが、あばよ…この勝負は俺の勝ちだ…!」
我流拳術奥の手『龍桜』
全身全霊の力を込めた浸透頸を撃ち込みカンヘルの頭蓋を粉砕しようとした瞬間…!
ゴッ!と周囲が重くなった
「駄目でしょ〜?カンヘルゥ、そんな所で死んじゃ♪」
カミラの横にはズタズタにされたミズハが…それを見せた時点で俺の戦意を喪うには十分で…
「チッ!」
レギオンの拘束が弱まったと同時にカンヘルは脱出、カミラの元へ一足飛びで行った。
「楽しかったぜ…いてて…」
俺には…、痛がりながらも笑い歩くカンヘルの姿も、崩れ去って行くレギオンの姿も見えなくて…俺は失意のままにリングへ倒れ込んだ。
「おいおい、君はこんな所で終わるタマじゃないだろう?私と来たまえ、害鳥を駆除しようじゃないか、君の惡・即・滅は達成されていないだろう?」
突然現れた男が引き連れていた黒服達に連れて行かれながら…












次回White/Fang代漆節
「少年少女前を向け」
一ノ瀬小隊のメンバーも本格参戦、彼らの物語を乞うご期待下さい、ではまたどこかで
フォッフォッフォッ…