ダーク・ファンタジー小説

Re: 黎明のソナタ ( No.5 )
日時: 2020/02/02 11:16
名前: 祝福の仮面屋 (ID: T8uIPv/C)

「まず情報を整理しよう。君は分身の能力者で、何かしらのアクシデントが原因で別れてしまった…そうだよね?」
「は、はい。そうなんです…私、初めての場所に弱くて…」
「分かる、初めての場所に行くと何か緊張しちゃうよね」
「ふん、所詮は深淵に引きずり込もうとする愚者の仕業よ」

〜九姉妹捜索1日目〜

現在、俺達は何かしらのアクシデントが原因で8人の妹達と別れてしまった少女・宮原香澄と共に、逸れてしまった彼女の分身を探す手伝いをしていた。手当たり次第に探すのもアレな為、彼女の記憶に沿って分身達を探しているわけだが…

「中々見つからないね…」
「ですね…」

そう、探すのは良いもののこれが中々見つからないのである。しかも現在の時刻は午後5時半、辺りも薄暗くなって来た為、少なくとも何かを探せる様な状態では無いのだ。

「残念だけど…今日はもう…」
「だな、今回はここらで終わりにしよう」

大した情報や手掛かりも得られず、九姉妹捜索前線1日目は終了した。



〜九姉妹捜索2日目〜

「何か手掛かりは得られたか?」

翔悟は皆にそう問いかけるが、誰一人とて首を縦に振る者はいなかった。いよいよ捜索も暗礁に乗り上げたか?誰もがそう思っていたその時、意外中の意外な人物が助け舟を出してくれた。
その人物とはーーー

「緑川生徒会長!」
「やぁ、少し耳寄りな情報を手に入れてね」

そういった生徒会長…緑川烏堂は、軽く指を鳴らす。すると、何処からともなく副会長の蛸山葵平次が現れ、タブレット端末をこちらに向ける。すると画面には、路地裏の中に入って行く香澄の姿があった。

「これは…!」
「あぁ、宮原香澄の分身の一人だろう。僕の権限を使えば、警察を動かすことも出来る。手を組まないか?」

烏堂はこちらに手を差し伸べる。
ここで彼の手を払う選択もあるが、払った場合は九姉妹の捜索は確実に難航を極めるだろう。恐らくだが、向こうもそれを知っていてこちらにそう聞いて来たのだ。
ならば、利用出来るなら最大限に利用させて貰うしか無い。

「よろしくお願いします」
「君は物分かりが良いね」

九姉妹捜索二日目、開始



次回
【九姉妹捜索前線(中編)】