ダーク・ファンタジー小説

Re: 夜明けのノア ( No.2 )
日時: 2020/01/19 21:16
名前: 枢木 (ID: xs5T8t9X)

「今日は豪華な食事だな」

黒髪の男はノアの腕をつかんだ。夜、少々肌寒い。男は色白だ。

彼は舌でペロリと口周りを舐めた。光って見えたのは鋭い歯だ。

その歯を彼は今にもノアの首に突き立てようとしていた。

「お前は…何かを探しているな?何故親が殺されたのか、何故市長が

殺したにも関わらず誰も信じてくれないのか、と…」

「貴方は…誰?人間じゃないでしょ?」

「そうだな。私は人間ではない。人間ほど脆くもない、吸血鬼だ。

名をアルトリア。そういうお前は何と言うんだ?」

アルトリアは名前を聞く。ノアは自分の名を名乗った。

「ほぅ…ではノア、私がお前に協力してやろうか?ここの人口の

約5%が人外だ。私も含めてな。お前は既にここの謎に関わっている」

意味深な言葉を告げた。風が吹き体が震える。

「随分と強そうな人間だね、お前…ノアって言ってたけど」

木の上に立っている男はノアを見下ろす。ノアは上を見た。

黒いコートが風に煽られている。

「ユミル、何故ここにいる」

「あの人も吸血鬼!?」

「何倍も弱い癖に、随分と物騒なところに足を突っ込むんだね。

君、凄く弱いのに」

弱い弱いと連呼する。ノアは怒ることはしなかった。

「弱いよ人間は。でもある意味、どんな種族よりも強いと思うな。

長く生き過ぎても辛いだけ、押しつぶされちゃうよ」

ノアが話した。ユミルは笑った。

「あっはっは、面白い人間だね。ズルいなぁアルトリアばっかり

俺も協力しようっと」