ダーク・ファンタジー小説

Re: 夜明けのノア ( No.4 )
日時: 2020/01/22 20:47
名前: 枢木 (ID: xs5T8t9X)

「しっかり仕事をしたのねベアトリーチェ。しっかり働きなさい、

あの人を奪い取った女の娘も殺すのよ!!」

恨み籠った声を出す長い赤髪の女の前に立つのは首に赤い糸が

巻かれた男型の人形だった。



「人形!?」

ノアは驚き声を上げてしまう。

「もう何が来ても驚かないって言ったのは誰だったんだ?」

アルトリアは呆れたような顔をする。ノアは一旦落ち着く。

「ベアトリーチェと呼ばれた人形を使う女はお前のお母さんを

恨んでいるらしい。ノア様も殺すって言ってた」

ノアは一人だけ知っている。ノアの母を恨んでいる女性を。

名をエミリア・ナーサリー、自分が幼いころは優しくしてくれたが

最近では嫌味を言ってばかりだった。コニーの耳がピクリと

動き彼は何かを思い出した。

「そういえば…あの人の命令って聞こえた」

「あの人?」

「考えれば分かるでしょ。どうせあのウザイ市長だ。その可能性が

高い、ならその人の喧嘩を買うだけでしょ」

ユミルはテーブルの上に足を乗っける。ノアは彼の言葉に頷く。


『どうかな?エルドラド家の娘を殺すことはできそうか?』

「えぇ、あんな娘、すぐに殺して見せますわ。お約束、忘れて

ませんわよね?私を貴方の妻に…」

『忘れてなどいない。しっかり仕事をしてくれれば、な』

男との電話。相手はアルカード市長だ。その様子をベアトリーチェは

こっそり聞いていた。羨ましい、殺したい相手を殺せば彼女は

自分を見てくれると彼は信じて止まない。

「何をしているの?ベアトリーチェ」

いつの間にか目の前まで来ていたエミリアはそう聞いてきた。

「いつ見ても綺麗ね貴方のルビーの瞳…」

彼女の手がベアトリーチェの頬に触れる。

「片方だけなら抉り取っても構いません。貴方の顔を見ていられる

ようになるなら」

「嬉しいわ私だけのお人形さん」