ダーク・ファンタジー小説

Re: 勇者として召喚されたけど俺YOEEEな件 ( No.2 )
日時: 2020/03/20 22:26
名前: 自宅の防人 (ID: X1kgwzZ6)
参照: http://www.kakiko.info/profiles/index.cgi?no=12733

深夜2時半

車が通る音さえ少なくなる時間帯

とある市の何の変哲もない一軒家
全ての窓がカーテンで閉められ、部屋を照らすのはPCの画面から放たれるLEDライトのみ

そんな暗闇の世界に、マウスのクリック音と、キーボードのカタカタ音だけが響く
ゲームをしているのか、身に着けているイヤホンから小さく戦闘音が漏れる

「………チッ」

男は苛々しく舌打ちをしながら、睨みつけるように画面を見る

「回復あくしろっての……、MP管理ぐらいしとけや……!……はぁぁー、つっかえね」

ボスとの戦闘中など気にもせず、赤い×印のボタンを押す


『離脱しますか?』

「YESに決まってるだろ、こんなクソ部屋」



オートセーブをする前に強引に電源ボタンを押す
画面から光が消え、部屋はほぼ真っ暗になった
手をキーボードから離し、凝り固まった筋肉をほぐすように背伸びをする
「はは、今バキって音したな。」


「まぁ帰ってロクに飯も食わず画面と睨めっこしてりゃそうなるわな」

しばらく何も考えずに近くにあるベッドに倒れこんだ後、置時計を見る
「2時33分。いつもより早いけど、今日は寝よ」



忍足でトイレを済ませ、再び部屋に戻って寝ようとした時、

テテロン♪

「んあ?」

電源を落としたはずのPCが急に光りだした
もぐりかけていた布団から出て、PCに近づく

『おめでとうございます!あなたは今、神界で行っている異世界召喚キャンペーンに当選しました!』
『特に準備物はございません!心の準備ができましたら、下の「転生ボタン」を押してください!』


「………ばっ!?親が起きるつーの……っ!」

状況が読み込めない中、元気な女性の声で読まれた、今表示してある文は何だろうか
「何のイタズラだよ……。ウィルスバスター仕事しろよホント」

無造作にマウスを掴み、右上の×ボタンを押そうとしたが
「は?」

×ボタンはどこにもなかった

「強制キャンペーンとか、一周回って笑えるな」

男は呆れたように笑い、さっきと同じように電源ボタンを押した
が、信じられない光景を目にした


「──ッ!?」


──電源が付いていれば表示されるはずの点滅ランプが、明かりを付けていなかった

しかし画面は付いている

故障か?今年の頭に買い変えたばっかだぞコレ?
いや、そんなハズはない。マウスは乱暴にしたこともあったかもしれないが、
PCはかなり高いお値段の高性能な物を買ったので、大事に扱ってきたはずだ。



「ったく、押しゃあいいんだろ!」

寝不足で苛々気味なのか、乱暴にマウスでクリックした



『では、神様とごゆっくり相談しら後に、異世界転生をどうぞ!』


PCから放たれていた光が強くなっていく
「はぁ!?何だコレ!?」




『素敵な異世界ライフをお祈りします♪』