ダーク・ファンタジー小説
- Re: 勇者として召喚されたけど俺YOEEEな件 ( No.3 )
- 日時: 2020/03/20 20:32
- 名前: 自宅の防人 (ID: X1kgwzZ6)
光が収まり、腕で隠していた目を開く
数多のRPGやラノベを読み漁った俺は知っている
これは異世界召喚というイベントの前の、女神からチートを授かるシーンだ。
まず目に入ったのは白
周りを見渡しても白。
「何なんだ、一体」
ただただ白い部屋にいた
中央に大きめな机があり、椅子には少女が座っていた、その机の上にはブラック企業もビックリな大量の書類
そして、奥に異質な存在を放つ大きな砂時計があった
少女がこちらの存在に気づいたようで、書類から顔を上げて声をかけてきた。手は止まってないが
「あ、来ましたか?」
透き通るような綺麗な声で、女性のいる机からは少し離れていたのに、まるで間近で言われたように聞こえた
少女の姿は水色の髪に、人形と言われても頷けるぐらいに整った顔、
眼鏡をかけており、服はメルヘンチックな布の服を着ている、
そして……
「翼?」
「はい、翼です?」
少女は何当たり前のこと聞いてんだ?みたいな顔で、不思議そうに答えた
おかしいな、俺の常識では一般女性には翼は生えていないはずなんだが……
「……その、ここは一体どこですか?」
少女は書類を片付けながら同じトーンで
「そーですねー。あなたたちが言うには天界ってとこじゃないですか」
ええい、焦れったい
「さっきPCで変な画面が出て、押したらここに居たんですが」
「はーい、ちょっと待ってねー」
……………
少女は一向に書類から手を離す気配がない。
え、まさかずっと作業続けるの?俺は?
………………………
「はい!」
「うわっ」
書類もひと段落ついたのか、急に椅子から立ち上がり、大きく手を叩いてこちらを見てきた
「それでは説明させて頂きます!有本春樹さんですね!」
「え、あ、はい」
やっと始まったのか。
「ひとまず、異世界召喚おめでとうございます!これで脱・廃人ゲーマーですね!」
おいコラ
「色々と説明した後に、異世界に行った後も安全に暮らせるよう、好きなスキルや武器をお渡しします!」
きたぁ!!
さらっと言った毒舌は無視するとして、
久しぶりすぎる高揚感から思わずガッツポーズをする
「まず、異世界召喚についてですが、あなたはこれから剣や魔法でモンスターと戦う、ファンタジー世界に召喚されます!」
「はい!」
「その世界には、あらゆる生物に魔力という目には見えない不思議な力があり、その生物を倒せば魔力の一部を取り込むことができ、魔力の濃さによって得られる魔力も上がります!」
「へい!」
「また、その世界には人類だけでなく、色んな人型の種族がいます。そして、魔族を率いるラスボス、魔王を倒すことによって再び地球に戻ることができます!」
「うい!」
「聞いてます?」
「あ、はい」
「その世界で功績を残し、美女を囲んでハーレムを送るもよし!人肌多いの苦手なのなら隠居するもよし!」
「はい!」
「ですが、せっかく異世界召喚されても近くに魔物がいてすぐにやられてしまう。なんてこともあるのです」
少女は何気なく言ったつもりなのだろうが、
やられてしまう。
その意味を理解して、少し背筋に汗が伝う
「なので、これから自分に合ったスキル、または武器と防具をお渡しします!」