ダーク・ファンタジー小説
- Re: 半死半生の冒険記 ( No.28 )
- 日時: 2020/04/07 21:13
- 名前: 星騎士 (ID: X1kgwzZ6)
ほいっ!昨日の分!これで許してつかぁさい!
(真面目な話、学校が始まったら毎日更新は厳しいかもです……)
閑話です。主人公視点じゃないのでそこには注意を。
とりあえず書きたい設定を書きまくったので、ネタというよりシリアス寄りですね。
第21話「最悪の予兆」
「ジェラルドさん、このクエスト受けたいです!」
「分かった。……ほい、今回のクエストはお前らが普段行っている森の奥の、バルク山だ。おうとつの激しい傾斜面や隠れるものがないから、当然危険度も増す。持ち物や地図をちゃんと確認してからいって来い。」
「分かってます!行って来ます!」
最近冒険者になったばかりの、明るい白髪の少年と赤い少年にに手を振って送り出す。
Lv2となり、赤クエの受注が可能になった今が、一番駆け出し冒険者にとって危ない時期なので、しっかり注意をする
俺はジェラルド、この冒険者の街バルドラインでギルドの受付人として働いている。
受付人というのは、ただクエストを受注しにくる冒険者を待つだけの仕事じゃない。
日に日に積まれていく書類の整理や、クエストの取り寄せなどもあるが、厄介なのは……
「──お前が抜かしたんだろうか!」
「何ほざいてやがる!元々俺が居た所をお前が割り込んできたんだろうが!」
冒険者同士の喧嘩の仲裁だ。
もう20年もこの街で過ごしたわけで、冒険者にこういう輩が腐るほどいるのも、もう慣れた。
別に慣れたからって、怖くないわけではない。筋肉ムキムキの大男の喧嘩なんて関わりたくもないのだが、
放置するとそれはそれで厄介なことになる。殴り合いで椅子やテーブルが折れるのはしょっちゅうある。
別に弁償させるのでどうでもいいのだが、……周りにいる暇な冒険者が煽るのだ。
火に油を注ぐようにワイワイされるので、無視して自然消滅を狙ってもたいがいが大事になる。
だから、そうなる前に受付人という立場を利用して鎮火する必要があるのだ。
「んだとぉッ!?」
「あぁ!?上等だゴラァ!」
「──冒険者規約第6条、ギルド内における暴力沙汰は如何なる理由があろうと禁じる。」
「……んあ?」
「そうだな、罰則は金貨5枚か冒険者ライセンス剥奪、もしくはその両方が課せられます、と。」
「………」
「金貨5枚って、高いよな。払いたくないよな。冒険者ライセンスもなくなっちゃったらギルドからの支援は一切受けれないしクエストの受注も無理だ。そんなんで生計は立てれないよな。」
「………」
「つーか左のおっさん、この指導も二回目だよな。2回目以降は反省の色がないとみなして罰則も厳しくなるって知ってた?」
……さて、堂々と啖呵きったけどこれで逆上されたら「上に報告する」という最終切り札を使うしかない。
頼むッ!いい年したおっさんなんだから分かってくれッ!怖いの無理ッ!
「………………チッ」
よし、何とかなりそうだ。
「どうしてもエルマさんの列に並びたいならジャンケンだ。……それでいいな?」
「……わーったよ。クソッ」
─────────────────
「はぁぁぁ、疲れた」
別に冒険者同士のいざこざなんて珍しくもないが、こう毎日されると精神的にくるな……
今は、ギルドの関係者のみが入れる休憩室で、1時間の休憩を取っていた。
自分の肩を適度に叩いていると、同じテーブルに水の入ったコップが二つ置かれる。
「ジェラルドさん、お疲れ様です!」
「あぁ、エルマさん、お疲れ様です」
元気に挨拶してきたのは、いつも俺の隣の受付口で行列を作っている美人受付嬢こと、エルマさんである。
渡されたお水を有難く頂き、何か話題になるものを考えていると、向こうから話を振ってきてくれた。
「さっきは大変でしたね……」
「……まぁ、大変っちゃ大変ですけど、これも俺の仕事の一つですし。」
「でも、エルマさんも凄いですよ。冒険者の行列を毎日こなしてるんですから」
本当に凄い。俺なら半日でギブだ。
それでいて、こんなに元気なのも更に凄い。
俺のあまり考えずに行った褒め言葉に対し、照れたように手で否定する。
「そ、そんなことないですよ。」
美人は居るだけで徳だ。
荒んだ心が浄化されていく……
しばらく、他愛もない話で時間を潰していると、
エルマさんが急に真面目な顔をして聞いてきた
「……そういえば、聞きました?」
「ん?何ですか?」
「バルク山で、緑竜が確認されたらしいです。それも、死体の状態で。」
「なっ……!?」
何で、そんな大事がギルドに伝わってないんだ?緑竜は竜種の中でも弱い位置にあるが、それでもBランクの上位モンスターだ。
その緑竜を越える魔物が街の近くで出たとなれば、当然大騒ぎになる。
こちらの疑問が分かったのか、エルマさんが慌てたように訂正する。
「あ、でも!この情報が入ったのは今朝のことなので知らなくてもおかしくはないですよ!」
「……調査クエストは?」
「もう司令部が出しました。Bランク以上で受注可能。もしその魔物を捕らえることができれば報酬は金貨100枚。その魔物に関する情報提供で金貨1枚。帝国騎士団の方も調査しに来てるらしいです!」
金貨100枚……。多い気もするが、
まぁ、緑竜を超える魔物となれば妥当な値だろう。
最悪、Aランクモンスターである可能性もある。
「……そうですか。後で調べておきます」
「ただの噂かも知れないですし、そんなに気をつめなくても大丈夫ですよ!」
「でも、緑竜の死体があったのは確かなんですよね?」
「それは、そうですけど……。あぁ!急に怖くなってきたのでやめてください!酔っ払った冒険者の報告だし、う、噂だー!」
酔っ払いの証言かよ……
彼女の言うとおり、ただ見間違いかもしれない。
……ただ、何なのだろう。
いつにも増して嫌な予感がする
- Re: 半死半生の冒険記 ( No.29 )
- 日時: 2020/04/08 22:04
- 名前: 星騎士 (ID: X1kgwzZ6)
作者コメント「一回書いたの全部ボツになりました」(死んだ目
遅くなってすいません……。でも萎えてたんです………。
まだ閑話続くので、主人公視点に戻るのはもうちょい先です。
とあるおっさん冒険者の視点です。
第22話「調査クエスト開始」
「ガンズ、お前も調査クエストを受けるのか?」
「あったりめーよ。こんな美味しいクエストを受けずにいられるかよ」
緑竜を倒したとされる未確認魔物の討伐で金貨100枚、その魔物に関する情報提供だけでも金貨1枚。
ギルドが何考えてんのか知らねぇが、俺にとっては美味しいクエストだ。
隣にいる、弓使いのエイクが興奮したように声を上げる
「噂じゃ、あの『天地雷鳴』にギルドが直々に指名したらしいぜ……?」
「へぇ……、面白そうじゃねぇか」
あのAランク様がねぇ……。いったい何が出ると思ってるんだか。
だいたい、緑竜は竜種でも下位に位置するドラゴンだ。俺はソロで討伐したことがあるし、
自慢じゃないが、俺は『豪腕のガンズ』として有名だ。Lv6の俺が、今更緑竜如きに何をビビれと言うんだか。
調査クエストを受注し、集まったBランク以上の冒険者で入り口に人だかりを作る。
受付人のジェラルドが先頭に立ち、腕を上げて注目を集める。
「あー、一旦静かに。……これより、調査クエストを開始する。点呼すっから、今から自分のパーティ名が呼ばれた奴は反応しろ。いいな?」
次々にパーティ名が呼ばれ、聞いたことのあるパーティや、全く知らないパーティもいる。
「……次、『静寂の狩人』、『豪腕鉄血』、『花鳥水月』。以上、全員いるな」
全員……?
そこで俺は、ある名前が呼ばれていないことに気がついた
「おい」
「ん?何だ?」
「天地雷鳴が来るって聞いたんだが、いねぇのかよ」
「……いつもどこから情報が漏れてるのか知りたい所だが、……彼女達は先に行った」
「はぁ!?じゃあ電光のレベッカに先を越されるじゃねぇか!さっさと行かねーと報酬すらないぞ!」
俺の声に反応した他のBランク冒険者が賛同の声を上げる。
冗談じゃない。無駄足なんてごめんだ。
広まった野次に怯むことなくジェラルドは落ち着いた様子で説明する
「行く前に説明だ。いいか、今回行くクエストはただの調査クエじゃない。あの緑竜だってやられている。調査対象の魔物は最低でもB+、……最悪はA+の可能性もある。調査隊も何人か同行させるから、くれぐれも油断しないように。……後、帝国騎士団も来ている。それくらいの事態だと思って行動しろ」
A+級の魔物が出るという最悪の予想を聞いて、Bランク冒険者の何人かが不安そうにしている。
無理もない。Aランクモンスターってだけでも、街が滅ぶ危険性は十分ある。
思わず静まった空気を見て、ジェラルドが面倒くさそうにため息をはく
「……オイオイ、まさかベテランの冒険者共がビビってんのか?安心しろ。あの天地雷鳴が来ているんだ、ヤバい奴らが来ても大丈夫な戦力だ。気楽に行け、とは言わないが、そんな深刻そうな顔すんな。」
「では、行って来い。」
ある者は自身ありげに、
またある者は神妙な顔つきでバルク山へと向かった
一方、その頃アラン達は
「ワイルドピッグって、もっと森林の中で住んでるのかと思ってたぜ」
「生息地が他の魔物に比べて比較的広いからね。まぁすぐ見つかるでしょ。」
クエストのため、バルク山へと足を運んでいた