ダーク・ファンタジー小説
- Re: 箱船のアヴァターラ ( No.3 )
- 日時: 2020/04/09 18:38
- 名前: 枢木 (ID: xs5T8t9X)
第二話「国からの要望、護衛なんていりません」
旧型から初代までのアヴァターラについての資料を見つけた。たまたま父親の部屋に眠っていた。
軍事力向上を目的としたアヴァターラが多く製造されたが戦闘力を強めれば強めるほど
成功例が少なくなっている。最高戦力とされたのはただ一体、シヴァだけだ。その後、戦闘用の
AIを作れば人々を犠牲にする戦争が起こると反論が出たため戦闘用アヴァターラは製造されなく
なった。シヴァのデータはほぼ初期化されていた。自我を持っているが感情に関するデータは
復元不可になっているようで表情は一切動かない。数日後、国の関係者を名乗る男たちが
やってきた。
「そのシヴァを一旦、こちらで預かってもいいでしょうか?初代アヴァターラの設計図等は
今現在の日本にも知っている人間は少ない。というのも戦闘用に作られたために暴走したら
危険だと考えられるからです」
「…分かりました。でも酷いことはしないでくださいよ?」
男は頷いた。彼は釜萢軍四郎と名乗った。彼は隣に立っていた青年に
挨拶するように命令する。青い目をした黒髪の青年。彼が着ている制服はAI特殊対策隊LIFEの隊服。
「AI特殊対策隊LIFE隊長、不破誘。これからアンタの身辺警護を担当することになった」
「コラッ、不破ァ!この方はな、景勝様の血を引く方だぞ!!」
「あ、良いんです。それでどうして警護を付けるんですか?忙しいのに」
九蘭は話をどうにか戻した。テロリストグループ「ラクシュミーサークル」が動き出し
彼らは重要人物の一人である九蘭を狙うと考えられるため護衛を付けるというのだ。それを
聞いた九蘭は首が千切れるほど横に振った。
「私、一般人だし!!そんな関係ないと思うんですけど!!と、兎に角しばらく時間をください。
本当に何かあったら承諾します。私、迷惑はかけたくないです」
「わ、わわ、分かりました。一週間のうちに何かあったら付けるということで」
そう言って彼らは家を出て行った。