ダーク・ファンタジー小説

Re: 桜印の鳥 ( No.6 )
日時: 2020/04/14 11:56
名前: ミカン (ID: lQjP23yG)

「今ここで見たことは他言無用なのよ。…でも貴方が見ている以上、他に誰が見ているか分からないから、貴方を今ここで、殺さないと……」
「えっ……」

彼女が何を言っているのか、梨華は理解できなかった。彼女を見上げたま動けない梨華を、彼女は有無を言わさずまだ納めていない刀で斬りかかろうとする。
梨華の顔面ギリギリのところで、少年が彼女の行いを喰い止めた。

「はーい、そこまで。…おい早紀、理性と本能の境目が分からない状態での単独行動は危険だって、何時も言ってるだろ」

少女は無表情のまま何も言わない。しかし少年の言葉を理解したのか、梨華の顔面から刀を離すと、手際よく鞘に納める。

(…私、今、助かった……の……?)

頭の中が混乱状態で未だに現状を整理できないでいた梨華に、少年は優しく肩を叩く。

「…まぁそういうわけだから、申し訳ないけど君の記憶を消させてもらうね。大丈夫。この騒動に巻き込まれる前の記憶に戻すだけで、君を殺すことはないし、お友達は、生き返れないけど、事故死ってことにして、こちらできちんと処理しておくから……」
「……えっ、待って、私……!」

無我夢中で抵抗するも、謎の光と共に、梨華は、もとい、少女の意識はそこで途切れた。
しかしこれが物語の始まりに過ぎないことを2人はまだ、知る由もなかった———……















いかがでしたか?これで第1話は終わりです。
本当は5回に纏めたかったんですけど、こちらの都合により、6回まで跨いでしまいました……(汗)
初っ端から分かりにくい表現ばかりで申し訳ありません。ここで、本編の中心を担う登場人物達と、簡単な用語を紹介したいと思います。
(出てきてない人はその場かぎりの人物か、物語の中心的人物ではないと思ってて下さい、なお辻本夏未さんは後から書きます)



辻本耕輝つじもとこうき
・櫻木中学3年A組。15歳。本作の主人公の1人。
・12歳の時に櫻木町に越してくる。早紀とはアパートの階が同じ。
・頭の回転が早く、基本的に温和な性格。
・桜印のついた化け物の目的と過程を調べている。
・左手の中指に金色の指輪を嵌めており、戦闘時の早紀を自分の思うがままに操る(普段は制服等のポケットにしまっている)。

西野早紀にしのさき
・櫻木中学3年B組。15歳。本作の主人公の1人。
・幼い頃の記憶が全くない。父親とふたり暮らし。
・喧嘩っ早く敵が多いが、何故か友達に恵まれる。
・日本刀は家に代々伝わるもの(とされている)。
・桜印の化け物を斬り殺す役目を担っており、戦闘時は赤い瞳になる。理性が効かない為、耕輝の指示がなければ誰彼構わず殺してしまう。
・耕輝に想いを寄せているが、中々素直になれずにいる。

【桜印】とは?
青い瞳に体の何処かに桜の痣がついている化け物。自分の関わりのある人物を容赦なく斬り殺す。
基本無口か時々狂ったような雄叫びを上げる。心臓を貫く以外、どんなに傷を負っても時間が経てば自然治癒する。
何処から来たのか、はたまた何故そうなったのか、上記の情報以外不明。
※耕輝達は親しみを込めて「狂い桜」と呼んでいる。