ダーク・ファンタジー小説
- Re: 霊障対策課24時! ( No.33 )
- 日時: 2020/04/21 22:33
- 名前: 枢木 (ID: xs5T8t9X)
やっと疲れが抜け始めた頃、別の場所。古くなった洋館に一般人の盗人は金目のものを盗みに来た。
男は足がもつれ躓いた。音を立てて近くの壺が落ちて割れてしまった。それが霊障を引き起こすとも
知らずに…。シャンデリアは明かりをともし人形たちは動き出す。盗人はひたすら逃げて結果、
警察に逮捕された。そう、その洋館には霊がいた。彼らは人知れず夜になるとダンスパーティーを
開くのだった。たまたま近くを通りがかった視える一般人は霊障対策課にすぐ連絡した。
数日後、ドレスをレンタルした職員たちはそのドレスと仮面を身に着け洋館にやってきた。
幾つかに別れて車で向かう。欠伸をした愛瑠はそのうち眠ってしまった。
「…ん…さん…愛瑠さん」
「ッ!!?」
声を掛けてきたのは天龍誠だった。角が付いたような仮面をつけた彼は愛瑠の名前を呼んだのだ。
愛瑠もまた仮面をつけて車を降りる。屋敷内では既に多くの霊たちがダンスや食事を楽しんでいる。
「ようこそ我らの館へ霊視できる方々?私はダイヤ伯爵、こちらは私の親友、エレン。
存分に楽しんでくれたまえ!」
そう言って二人組は何処かに消えた。
「俺、色々見まわってみるわ。あの二人の関係とか…ここはデカイし書斎とかがあれば
何かヒントを見つけられるかもしれないし」
累槻は騎兵隊服のような正装に身を包んでいる。彼は一人、別の場所へ移動した。
「行っちゃいましたね…」
「そうだね。にしてもドレスを着る日がこんなすぐとは…」
「俺も思いましたよ」
誠と愛瑠はそう言葉を交わした。
- Re: 霊障対策課24時! ( No.34 )
- 日時: 2020/04/22 11:41
- 名前: 枢木 (ID: xs5T8t9X)
「そこで何をしているのかな?」
部屋を探っていた累槻は手を止めた。
「アンタの手記とかが見つかればって思ってたんだよ。警察だからな」
「私の事を探っていたのか。確かに未練はあったが今は無いさ。夜が明ければここを出るよ」
ダイヤ伯爵とエレン。ダイヤ伯爵は真実を話す。
「私の婚約者エレン。あの時、ここを使ってパーティーを行うつもりだった。それはもう
華やかで私たちの結婚式にはぴったりだっただろう」
ダイヤ伯爵はエレンを抱いた。
「だけどね、それを良く思わない者がいたのだよ」
「エレンを好きな奴、とか?」
「その通り。パーティー会場は炎上、二人の新郎新婦は火の中に消えたのだよ。だからこれは
生前に果たせなかったパーティーの続きさ」
ダイヤ伯爵はただ単にやれなかったことをやろうとしていた。風の噂で霊障対策課があることを
知り、霊障を起こせば必ず来ると踏んでいた。
「さぁ、そろそろこのパーティーをお開きとしよう!」
薄日が差してきた。短い夜の仮面舞踏会は終わった。舞踏会を楽しんだ霊たちが次々と
成仏していく。最後にはダイヤ伯爵とエレンも消えて行った。