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ダーク・ファンタジー小説
- Re: 死を望む人間達。 ( No.13 )
- 日時: 2021/12/27 12:48
- 名前: 鈴乃リン ◆U9PZuyjpOk (ID: 0j2IFgnm)
3日が経った。放課後、すぐにあの店に向かった。
2日前……あの日の次の日に行ってみようと思ったのだがあの店に繋がる道が無かったのである。何度も行ったり来たりを繰り返したが、駄目だった。
それと、変わったことがある。
今まで私に暴力を奮っていた虐めが、無視だけになったのだ。2日前…無視だけになったのは偶然かと思っていたが無視が3日続いた。いつも殴られたり物を隠されたりしていたから、少しだけ、ラッキーと思えた。
そう3日間を振り返りながら歩いていると、件の店が見えてきたのである。
看板に沈丁花と書いてあることがなぜか嬉しく思えてきて、心を弾ませながら扉を開けた。
- Re: 死を望む人間達。 ( No.14 )
- 日時: 2022/01/28 22:05
- 名前: 鈴乃リン ◆U9PZuyjpOk (ID: 0j2IFgnm)
ちりん
穏やかな音だ。心が浄化されていくような__そんな音。
まっすぐ前を見ればカウンターの前に店長さんが優しい笑みを浮かべて木箱を持っていた。店長さんは待っていてくれたようで私の方を見れば少し目を細めて「こんにちは」と口にした。
「こんにちは……あの、それって_」
「……できましたよ、人魚姫の時計。開封致しますか?」
「っ……はい…っ!!」
ティーセットが並べられたテーブルの一席に座り、店長さんの持っていた木箱を受け取ってテーブルの上に置き、ゆっくりと蓋を開けた。
「わぁ……!」
その時計は、すごかった。
真ん中の時計盤を囲うように今すぐにでもゆらゆらと揺らめきそう海藻があり、そこから海の世界が広がっている。色とりどりの魚が躍るように泳ぎ、海面近くが太陽の光を反射してキラキラと輝いて、海の底まで照らしている。そして時計盤の下、鮮やかなサンゴの生えた岩に座り歌う__美しい人魚姫。
今すぐ動き出しそうな海の世界に彩られたその時計に、もう一つの世界ができたようだった。
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