ダーク・ファンタジー小説

Re: この馬鹿馬鹿しい世界にも…… ( No.1 )
日時: 2020/12/10 21:13
名前: ぶたの丸焼き (ID: OakzbDQq)

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 また、今日が来た。何も変わらない太陽が、私を朝へと追いやる。
 いつもと変わらない動作で、私は朝の用意をする。顔を洗って、朝御飯を食べて、歯磨きをして。
 鞄をもって、靴を履いて。
「行ってきます」
 誰もいない家に向かって、私は外出を告げる。
 さあて、今日は何があるのかな?

 みんなにとっての異常が、私の日常だとすれば、世界は私を、どんな目で見るのだろう。

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「おはよう」
「おっす」
「おはようございます」
 人々は、今日も人と関わりを持とうとしている。それに意味を持つというわけでもなく。
「よう、日向ひなた。おはよう」
 私だって人のことはいえない。
「おはよう、リュウ」
 この人の名前は笹木野ささきの 龍馬たつま。私を含む特定の友人は、彼のことをリュウと呼んでいる。
「まあたつまんなそうな顔してさ」
 リュウは私によくこの言葉を言う。確かに私はこの世界に興味がなく、何のためにも生きていない。
 でも、それが何だと言うのだろう。死にたいわけでもなく、生きたいわけでもなく。私のこの意思を彼らは尊重し、受け入れてくれている。それで満足すべきだろうか。
「今日は屋上集合だとさ」
「え?」
「『え?』じゃねえよ。今日はあいつらと昼休み一緒だって、昨日言ったろ?」
 ああ、そうだった。どうせリュウが教えてくれるだろうと、覚える気がなかったのだ。
「どうせおれが教えるからって、覚える気がなかったんだろ」
「うん」
 さすがは昔からの友人だ。よくわかってくれている。

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