ダーク・ファンタジー小説

Re: この馬鹿馬鹿しい世界にも…… ( No.2 )
日時: 2020/12/11 16:32
名前: ぶたの丸焼き (ID: KVjZMmLu)

 2

 リュウが弁当のはいったバッグを肩に掛けながら言った。
「日向、行くぞ」
「迎えに来なくても、逃げないよ」
「どうだかな」
 リュウはいたずらっぽく笑った。
 リュウは闇属性なのに、どうしてか、太陽が似合う。光属性と言われても、何らおかしいと思われないだろう。もっとも、属性と性格の関係性は明らかになっていないが。

 リュウの笑顔は、とてもきれいだ。

「どこの屋上?」
 リュウは呆れた顔をした。
「あいつらのいる第四館だ。お前、本当に話を聞いてなかったんだな。迎えに来て正解だったよ」
 やれやれと首を振るリュウ。
 私も弁当の入った小さなバッグを持ち、立ち上がった。
 私とリュウが歩いていると、ヒソヒソと声がする。
「ほら、また一緒に歩いているよ」
「幸せアピール?」
 リュウが私に尋ねた。
「どう思う?」
 なので私は、正直に思っていることを言った。
「馬鹿じゃなかろうか」
 リュウは吹き出した。
「そう言うだろうと思ったよ」
「いつも言ってるからね」
 渡り廊下をいくつか通り、第四館へたどり着いた。早めに教室を出たし、昼休みも一時間と長い。時間はまだまだ足りるはずだ。
 そういえば、昼休みが一時間もある学校は珍しいらしい。
 第四館は塔のように細長い建物で、階段は中央にある。細長いと言っても、面積はなかなかのものだ。
 五階分の階段を登りきり、木製のドアを開けると、そこには顔見知りがいた。
「おー、やっと来たか」

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