ダーク・ファンタジー小説
- Re: この馬鹿馬鹿しい世界にも…… ( No.3 )
- 日時: 2022/01/28 19:17
- 名前: ぶたの丸焼き (ID: V9P9JhRA)
3
「平均的な早さだと思う」
「おれたちは結構待ったんだって」
一言二言話したあと、私たちはいつものベンチに座った。
屋上はあまり人はいない。理由はいくつかあるが、今日は寒いことが一番の理由なのではないだろうか。おそらく今日も、奴らが来るのだろう。
「いただきまーす」
「いただきます」
「いただきます」
「……いただきます」
今日はお弁当は昨日作っておいたものになっている。考え事をしながら作っていたら、量を間違えてしまったのだ。
「日向、それなに?」
「知らない」
本当に知らないのだ。適当に作ったらこうなった。
私は自分の弁当箱の中にある、炊き込みご飯を見た。魚やら肉やら野菜やら、色々入っている。
ああ、そうか。
「炊き込みご飯」
私はスナタの目を見て言った。
「とりあえず、具体的な名前はないのね」
スナタは苦笑いしていた。
「うん」
それからは、毎度恒例のおかずお披露目会が始まった。リュウはハンバーグ、蘭は豚の生姜焼き、スナタはサンドイッチだった。
「日向、ひとついる?」
「別に」
スナタは私の弁当箱の蓋にサンドイッチを置いた。
「……ありがとう」
何故訊いた。意味があったとは思えない。
いつものことか。それに、私も拒絶していたわけではない。
「そういえばさ、発表されたよね、《森探索》の結果」
スナタが言った。
「総合でも、Cクラスじゃリュウが一位だったでしょ? 流石だよね」
リュウは少し照れたような顔をした。
「いや、スナタも十一位だったし、蘭なんか七位だっただろ? 二人だってすごいよ」
「いやいや、私はまだまだだよ。でも、もうすぐで十位以内に入れるんだ。応援しててね」
そして視線は、私に向いた。
「日向って、二位だったっけ?」
「下からね」
私は短く言った。これこそいつものことだ。《森探索》とは、簡単に言うと魔物狩りのことだ。正式名称、[デーモン・タウン]という森には、その名の通り、魔物がたくさんいる。場所はこの学園を出て、北の方角にほうきで一時間ほど進んだ場所にある。倒せた魔物の数と、使った技(魔法だけではない)の精度やレベルに応じてポイントが入り、それが多い順に順位が決まる。つまり私は、ほとんど魔物を倒せていないということだ。
「いつもブービー賞だよね」
スナタがからかうような口調で言った。
「だって私は」
私がそう言った直後。
ビーッ ビーッ ビーッ ビーッ ビーッ
学園中に、警報が鳴り響いた。
4 >>04