ダーク・ファンタジー小説
- Re: この馬鹿馬鹿しい世界にも……【※注意書をお読みください】 ( No.115 )
- 日時: 2021/05/09 01:02
- 名前: ぶたの丸焼き ◆ytYskFWcig (ID: 6k7YX5tj)
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おれが知りたいのは、『消えたAの時代』の話。でも、ないんだろうな。
この世界は、なんでもかんでもアルファベットと数字でわかれている。時代も、そうだ。
まず、大まかに、百万年ごとでアルファベット。いまは『Bの時代』。百万年ごとに『世界の終焉』とやらがくると言われている。定期的にくる終焉なんて、終焉なのかどうなのか、微妙なところではあるが。
そして次に、数字。Ⅰ~Ⅹまで、つまり、十万年ごとにわけられる。これは、いまはⅩ。そろそろこの時代も、終わりに近づいてきている。
次に、アルファベット。時代と区別するために、表記は小文字になる。a~jまでの、一万年ごとの十段階。いまは、j。
最後に数字。単位は『世紀』。これは間隔が細かくなり、百年ごとの百段階。いまは九十九世紀だ。
『誰にしゃべってんだよ、お前』
独り言だよ。
さてと、そろそろ探すか。
おれはぼうっとしていた頭を切り替えた。
ここには何度も来ているが、なかなかどこになにがあるか把握しきれない。なんせ、広すぎる。
Bの時代だけでも、これまでの約九十九万年分の書物があるのだ。この場所の存在を知ってから定期的に通っているが、つい最近、ようやく五万年ほど遡れた。自分の知識欲が邪魔してしまい、どうにもスムーズにAの時代を調べられない。
それに、Aの時代の書物があるのかどうかすら不明だ。『消えたAの時代』とまで言われている時代の書物が、ただのとは言えない学校であるこのバケガクにも、さすがにないだろう。
それでも、求めずにはいられない。もしかしたら、その『消えたAの時代』に、こいつをおれから放すヒントがあるかもしれな……
『だから、ねえって。いつまで夢見てんだよ』
そんなこと、わかってる。
わかってるけど。
「探さないよりかは、ましだろ」
早くこいつとわかれたい。
おれがこの世で最も嫌いな、こいつと。
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