ダーク・ファンタジー小説

Re: この馬鹿馬鹿しい世界にも……【※注意書をお読みください】 ( No.122 )
日時: 2021/05/21 13:59
名前: ぶたの丸焼き ◆ytYskFWcig (ID: KBFVK1Mo)

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 とはいえ、あからさまに見るのもなんだか忍びなかったので、まずは窓から顔を除かせた。

 すると、きれいな金髪が見えた。

 男の子はおれに背を見せるような方向を向いて立っていて、顔までは見えない(日向は男の子と対面しているので、つまりこちらを向いているから、すぐに見つかってしまった)。
 日向は陽光や月光を浴びると輝く金髪であるのに対し、男の子の金髪は、常に光を放っている。

「なんでここにいるの」
 日向が言った。
「なんだよその言い方! 久しぶりの再会だってのに!」
 男の子の怒ったような言葉には微塵も動揺せずに、日向は言葉を返す。
「なんのためだと思ってるの。私とあなたが離れたのは、あなたのためだっていうのに」
 ん?

 なんでだろう、日向の口数が多い。
 日向が大事にするのはおれたちで、大事に『しようとする』のは、確か。

「あなたって、なんだよ。
 実の弟に対してその言い方はないだろ?!」

 家族だ。

 日向に直接聞いたことはないけれど、昔、《白眼の親殺し》の新聞記事で、見たことがある。

 日向には、年の近い弟がいる、と。
 ただし、その名前はわからない。

「私と姉弟だなんて言うのはやめなさい。あなたの汚点になる。ただでさえ、名字と民族が同じだってことで私との関わりを疑われているんだから。
 私がなんのために、必死になってあなたの名前だけは公表されないように根回ししたと思っているの」

 その記事によれば、日向は当時既に、バケガクの生徒だったらしい。おそらく、学園長に協力してもらったのだろう。

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