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ダーク・ファンタジー小説
- Re: この馬鹿馬鹿しい世界にも……【※注意書をお読みください】 ( No.123 )
- 日時: 2021/05/21 14:00
- 名前: ぶたの丸焼き ◆ytYskFWcig (ID: KBFVK1Mo)
3
「なに言うんだよ! 姉ちゃんは」
「朝日!」
日向が強く言った。響くような音量ではなかったけど、心底に重くのし掛かるような、そんな声だった。
男の子は、はっと目を見開いて、うつむいた。
「ごめん、姉ちゃん」
「とにかく」
日向は声を重ねて、言った。
「自分の教室に戻りなさい」
男の子は動かない。日向はそれを見て、ため息を吐いた。
「放課後、裏の森で待ってて。場所はわかる?」
「え?」
「あなたがどうしてここに来たのか、とか、聞きたいことがあるから」
男の子は顔を勢いよく上げた。
「姉ちゃんと話せるの!?」
「少しだけだよ」
そう言う日向の声は、どことなく、優しかった。
「姉ちゃん」
男の子の声音が、やや低く、真剣みを帯びた。
「噂で〔邪神の子〕と仲が良いって聞いたよ。どんなやつ?」
「どんなやつ?」
日向は首をかしげ、言葉を繰り返した。
「姉ちゃんは、そいつのこと、どう思ってるの?」
今度は、眉を潜めた。
「そんなこと知って、どうするの」
「教えてよ!」
男の子が荒い声を上げた。
日向と、目があった。つまり、日向がおれを見たのだ。
日向は口を動かした。
『放課後、付き合ってもらっても良い?』
疑問符は勝手に付けたけど、 まあ、合ってるだろ。
おれはすぐさま頷いた。
「森に、その人も連れていくから。
早く帰って。そろそろ、他の生徒が登校する」
男の子は満足したように、大きく、強く、首を縦に振った。
「うん! じゃあ、また夕方に!」
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