ダーク・ファンタジー小説

Re: この馬鹿馬鹿しい世界にも……【※注意書をお読みください】 ( No.127 )
日時: 2021/05/21 14:03
名前: ぶたの丸焼き ◆ytYskFWcig (ID: KBFVK1Mo)

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「は?」
 朝日くんに睨まれた。
 あー、失言だったかな。

「いや、詳しいことは知らないぞ? ただ、日向が殺したわけじゃないってことをわかってるだけで、死因までは知らない。日向もそのことに関しては何も言わないし」

 おれは慌てて言った。あまりにも、朝日くんの目が、なんというか、『冷たかった』から。

 おれはこれまで、たくさんの『目』を見てきた。優しい目、暖かい目、冷たい目、空虚な目、醜い目。

 それらの経験からして、おそらく朝日くんは、怒らせてはならない人物だ。まあ、この目は『怒り』ではない、『嫉妬』に近いだろうか、そんな感情が宿っている。

「ふーん、へー、そーなんだ」

 そう、感情の薄い声がおれの耳に届いたとほぼ同時に、朝日くんの手が小さく動いた。

 小さくというのは動作の話で、それに起こった出来事を指すわけではない。
 つまり何が言いたいのかと言うと。

「うわっ?!」

 どう考えてもおれの顔に直撃するような勢いと方向で、ガラス瓶が飛んできた。
 すんでのところで避けられたけど。でも、ぎりぎりだった、本当に。

「朝日?」

 日向が問いかけると、朝日くんはにっこりと微笑んで、さらりと言った。
「どうしたの、姉ちゃん」
 日向は顔をしかめた。

「どうして聖水を投げたの。それと、どうして聖水なんて持ってるの」

 せ、聖水?!

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