PR
ダーク・ファンタジー小説
- Re: この馬鹿馬鹿しい世界にも……【※注意書をお読みください】 ( No.128 )
- 日時: 2021/05/21 14:03
- 名前: ぶたの丸焼き ◆ytYskFWcig (ID: KBFVK1Mo)
8
おれは寒気がした。吸血鬼の血が濃いおれにとっては、聖水なんか焼けた鉄同然だ。おれは日光などには耐性がある分、ほかの弱点に対する反応が大きいのだ。
「どうせ当たらないと思ったから」
なぜ持っていたのかは明らかにせずに、朝日くんは言った。
いやいや、当たらなかったけど! 当たりそうにはなったぞ?! おれが避けなかったら当たってたぞ?!
日向は額に手を当て、ため息をついた。
「怒っていいよ」
顔がこちらに向いてはいなかったものの、この場の状況から考えて、おれに言ったことは確かだ。
「え? うーん」
別に怒るような事だとは思っていない。実害はなかったわけだし。
「えっと、じゃあ、次はないよ?」
あのスピードとコントロールに、そう何度も対応出来る自信はないので、とりあえずこれだけ言っておいた。
朝日くんはただにこにこするだけで、何も言わない。
「朝日」
けど、日向が声をかけると、ようやく口を開いた。
「うん、次は別のやつにする」
「いや、そういう意味じゃなくてだな」
「?」
朝日くんは無邪気を装い、首を傾げた。
……おれが警戒しておけばいいか。
諦め半分に、そう考えた。
「それで、朝日」
「なあに、姉ちゃん」
日向に声をかけられ、朝日くんが嬉しそうに目を向ける。
「どうして、バケガクにいるの」
9 >>129
PR