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ダーク・ファンタジー小説
- Re: この馬鹿馬鹿しい世界にも……【※注意書をお読みください】 ( No.133 )
- 日時: 2021/05/30 08:14
- 名前: ぶたの丸焼き ◆ytYskFWcig (ID: axyUFRPa)
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おれは新聞を開いた。でかでかと一面を飾られている記事は。
「『白眼の親殺しについて』?!」
おれは目に飛び込んできた文字を見て、おもわず大声をあげてしまった。
『お前、どうやったら意識外のそんな小さな文字を認識できるんだよ。どう考えてもトップの記事しか見てなかっただろうが』
その声と重なるように、ツェマが言った。
「流石です龍馬様。一面を飾った、シュリーゴ家の子息の婚約よりも先に反応をお示しになるとは」
「え、シュリーゴの?」
見つけた記事も気になったが、そちらはゆっくり読みたいので、先に一面を確認することにした。
ざざざっと目を通し、把握したという意味を込めて頷いて、目を戻した。
「お兄様、いくらなんでも反応が薄すぎますわ」
呆れたようなルアの言葉。
「へ?」
薄い反応をしたというつもりはなかった(オーバリアクションだったというつもりもないが)ので、間抜けな声が出てしまった。
「記事をよくご覧になりまして? シュリーゴ家は他大陸の貴族、つまり、他種族と婚約を結ぶということですわ。お兄様なら、それが何を意味するかなど、おわかりのはずです」
吸血鬼族は、同種族の者のみが優れた存在であるとする種族だ。他の種族の血を、本当の意味で自分の家系に流すなど、考えられないことなのだ。
そして、シュリーゴ家は、おれたちカツェランフォート家と並ぶ、吸血鬼五大勢力の一つ。
よって今回の婚約は、そんな考えを覆してしまえるほどのものだということ。
それくらい、わかってる。
「でも、おれだってハーフだ。吸血鬼族の意識が変わり始めたってことだろ?」
おれはそれよりも、はやく日向に関係する記事を読みたかった。
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