ダーク・ファンタジー小説

Re: この馬鹿馬鹿しい世界にも……【※注意書をお読みください】 ( No.137 )
日時: 2021/05/23 12:42
名前: ぶたの丸焼き ◆ytYskFWcig (ID: o93Jcdrb)

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 翌日、いや、おれは今日寝ていないので、感覚としては、本日ということになるのだろうか、日向は学校を休んだ。
 寝ていない理由は、ネラクからこれまでの探索結果と、これからの朝日くんを探る内容を話し合っていたからだ。それらが終わったのは朝の四時だったので、そのまま起きていたのだ。
 ちなみに、ネラクは家で休んでいる。長期間働いてもらったので、しばらくはゆっくりさせてやるつもりだ。さすがにすぐに働かせるほど、おれは鬼畜じゃない。

「ねえ、リュウ」

 いまは昼休み。今日は正門に入ってすぐの大木の前で弁当を食べている。
 ここは学園屈指の昼食スポット。多数の生徒がごった返していて、日向はあまり好きじゃない。けれどスナタがこの場所を気に入っており、たまにここでも食べるのだ。

「どうした?」

 おれは笑って、スナタを見た。
 スナタはため息をついた。

「もう夏だって言うのに寒いよ。日向がいなくて寂しいのはわかったから、落ち着いて」
「別におれは魔法は使ってないぞ?」
「雰囲気の問題だって言ってるの!」

 スナタに怒鳴られて、おれは気圧された。

「だ、だって、日向が学校を休むなんてこれまでなかったことだからさ」
 それでもおれは、訴えた。スナタは共感の意を示すように、数回頷く。
「そうだよね。わたしも気になる。リュウのことだから、記事を見たかなんて聞かないけど、たぶん、あれが原因なんだろうね」

「でもさあ」

 ずっと黙々と弁当を食べていた蘭が言った。

「あれが原因として、なんでわざわざ休むんだよ。急ぐ問題でもあるのか?」
「どうなんだろう」
 おれは首を傾げた。

「答えはわかりきってるけど一応聞くね。メンバーチャットで聞いてないの? ちなみに、わたしたちは聞いてないよ」
 おれは右の手で拳を作り、まっすぐにスナタを見て、言った。

「そんなことしたら会いたくなるだろ?!」

「うん知ってた」

 苦笑というよりは諦めきったような笑みで、スナタはおれに言葉を返した。
 蘭は無視して、また、黙々と弁当を食べている。

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