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ダーク・ファンタジー小説
- Re: この馬鹿馬鹿しい世界にも…… ( No.14 )
- 日時: 2022/07/20 14:07
- 名前: ぶたの丸焼き ◆ytYskFWcig (ID: DAMSs7I3)
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授業の終わり。生徒は全員、無事に精霊と仮契約を結べたようだ。たまに精霊と喧嘩をして教室が壊されることもあるから、無事で何よりだ。何かあると面倒くさい。
「日向」
後ろから声をかけられた。声で分かるのもあるけど、この教室内で私に声をかけるのはリュウくらいなので、すぐに分かる。
「なに」
「どんな精霊と仮契約を結んだんだ? 新しい精霊か?」
「うん」
私は【精眼】を持っているので、誰がどんな精霊と共にいるのかが分かる。だけど、リュウは持っていないので、私が精霊と契約が出来たのかすら分からない。しかし、精眼とは別に、私が【精霊の加護】という称号を持っていることを知っている。精霊の加護を持つ者が仮契約を結べないことなど、あり得ないことなのだ。
そういえば、だいぶ昔にスナタが「精眼に青眼」と言って笑っていた。
「リン、姿を見せて良いよ」
『わかったわ』
精霊とは警戒心の強い存在で、精霊同士にすらその姿を見せない。さらに臆病な性格の精霊は契約者からも姿を消すことが多い。
リンは契約時にも思ったが、積極性のある性格をしている。あっけらかんとリュウに姿を現したようで、リュウは「へえ」と笑顔で言った。
....
「似てるな」
『?』
リンは不思議そうな顔をした。
「もしかして、だから名前も『リン』なのか?」
「さあ。思いつきで言ったから」
私たちがそれを無視して話を続けていたからか、リンがムッとした顔で言った。
『ねえ、なんの話? 私は誰に似てるの?』
「あとで紹介してあげる」
『ええー』
リンはしょんぼりとした。
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