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ダーク・ファンタジー小説
- Re: この馬鹿馬鹿しい世界にも……【※注意書をお読みください】 ( No.150 )
- 日時: 2021/06/03 17:47
- 名前: ぶたの丸焼き ◆ytYskFWcig (ID: CqswN94u)
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「この度の婚約破棄について、龍馬様は、どのようにお感じですか?」
おれは危うく脱力しかけた。
なるほど。そうくるか。
そういえば、フロス嬢がおれを訪ねてきた理由がそれだったっけ。
正直、婚約破棄されると聞いて、特になにも感じなかった。グレイド様は、おれが[タラゴストリー]に入学し、『怠けきった精神』を叩き直し、フロス嬢に見合う男に、と考えていたようだったから、この結果は、言わば当然だ。
フロス嬢に対しては、『吸血鬼として優れた女性』としか認識していなかった。もちろん恋愛感情なんて持ち合わせていないし、というかそもそも、おれはその感情がわからない。
「シュリーゴ家には、申し訳ないと思っております。これは完全なる私個人の私情で行ったことですので」
フロス嬢の瞳に、今度は誤魔化しきれないほど強く、絶望の色が見えた。
だけど、心は痛まない。だって、これは、仕方のないことなのだから。
おれは……。
「わ、かり、ました」
フロス嬢の声は、わかりやすく、震えている。
きつく握りしめた拳に巻き込まれて、黒色のドレスはしわくちゃになってしまっている。
「では、わたくしは、帰ります。失礼致しました」
「玄関まで送りましょう」
「結構です!」
思ったより、拒絶されてしまった。
でも、これでいい。突き放した方が、フロス嬢も、諦めがつくだろうから。
「そうですか。では、お気をつけて」
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