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ダーク・ファンタジー小説
- Re: この馬鹿馬鹿しい世界にも……【※注意書をお読みください】 ( No.155 )
- 日時: 2021/06/06 15:25
- 名前: ぶたの丸焼き ◆ytYskFWcig (ID: 9ydMs86F)
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ねえ、わたしは、どうすればよかったの?
やっと『友達』が出来たと思っていたのに。あの人たちは、わたしを友達とは思っていなかった。
ねえ、どうすればよかったの?
一人ぼっちは、いやだよ……。
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「おきるニャー!」
ドスッ
「ぐへっ」
キドの跳び乗りで、わたしのお腹に猛烈な痛みが生じた。
「朝だニャ! おきるニャ!」
ドスッドスッ
「おき、てる、おきてる、から」
わたしの必死の叫びは、わたしのお腹をトランポリン代わりにして遊ぶのに夢中なキドには聞こえていないようだ。わたしの声が途切れ途切れで、聞き取りづらいというのもあるだろうけど。
「ちょっとキド。やめなさい」
そこに現れるは救世主。
でも、その声も聞こえないらしい。キドは相変わらずはしゃいでわたしのお腹を跳ねている。
「まったくもう! 【浮遊】!」
「ニャ?!」
モナが叫ぶと、わたしのお腹にかかっていた圧力がなくなった。
「下ろすニャ! 下ろすニャ!」
キドはジタバタと短い黒い足を動かして抵抗するけど、なにも変わらない。
「ましろ、大丈夫?」
とててて、と、キドよりはすらりと長い白い足を軽やかに動かして、モナがわたしのそばに寄った。
キドをそのままにして。
「ううう、もなぁー!」
わたしは体を起こして腕を伸ばし、モナを抱き上げ、泣きついた。
ふわふわとした毛と、暖かい体温が伝わり、わたしは癒された。
「よしよし」
モナがぽんぽんと肉球をわたしの頭に乗せた。
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