ダーク・ファンタジー小説

Re: この馬鹿馬鹿しい世界にも……【※注意書をお読みください】 ( No.156 )
日時: 2022/05/29 08:57
名前: ぶたの丸焼き ◆ytYskFWcig (ID: EZkj1dLS)

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「おばあちゃん、おはよー」

 頭にキドを乗せ、両手でモナを抱えて、おばあちゃんのいるリビングへ向かった。
 リビングと言っても狭く、というよりこの家自体がとても小さい。森の中にあるので、小屋と言った方が雰囲気としても合う。

「おや、ましろ。起きたのかい。朝ごはん食べようか」

 おばあちゃんは穏やかに笑って、広げていた新聞紙を閉じた。

「ましろましろ! ぼくもごはん!」
「はいはい。ちょっと待ってね」

 キドが元気よくわたしの頭から飛び降りた。

 おばあちゃんが朝ごはんを用意している間に、わたしはキドたちのごはんを用意する。これが日課だ。
 わたしは戸棚から猫缶を出して、キドたちが咥えてきたそれぞれの専用のお皿に入れていく。

「はい、いいよ」
「「いただきます!」」

 キドはガツガツ、モナはむしゃむしゃとごはんを食べる。

 ふわあああ、かわいいー。

「ましろ。戻っておいで。こっちも用意が出来たよ」

 夢見心地でキドたちを見ていると、おばあちゃんから声がかかった。
 おっといけない。ついつい見とれてしまっていた。

「はーい!」

 わたしはしゃがんでいた体を立て、おばあちゃんの向かいの椅子に座った。

 お皿の上には、両手に収まりきるほどの大きさのパンひとつ。

「いただきます」

 わたしは手を合わせてそう言ったあと、パンを手に取った。
 ゆっくりと、少しずつ、よく噛んで、パンを食べる。

 これがわたしの日常。

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