ダーク・ファンタジー小説

Re: この馬鹿馬鹿しい世界にも……【※注意書をお読みください】 ( No.161 )
日時: 2021/06/12 10:21
名前: ぶたの丸焼き ◆ytYskFWcig (ID: XlTUhOWG)

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 わたしは、【基本魔法】以外では唯一使える【治癒魔法】ですら、満足に使えないのに。

『真白、真白。どこ見てるんだ?』
「真白さん、大丈夫?」

 ナギーと、ペアを組んでいるロスタイアさんの声が重なった。

「え?」
『『え?』じゃねえよ、ばか。実習中にボーッと出来る身か?』
「いや、なんだか険しい顔をしてたからさ」

 二人は言葉のやわらかさの違いはあれど、同じことを言っているようだった。
 けれど、二つの言葉を同時に理解するのはわたしには難しく、反応に手間取ってしまった。

「は、はい! 大丈夫です」

 ロスタイアさんは穏やかに笑った。

「そっか。それならいいけど、無理はしないでね」

 ロスタイアさんは、学級委員だ。わたしは友達が一人もいないので、先生から言われて、ペアを組んでもらっている。

 Ⅲグループまで進級しただけあって、優しくて面倒みも良くて、頭もいいし、笹木野さんほどではないけれど、運動もそこそこ出来る。クラスの中でもかなり人気は高くて、ロスタイアさんとペアを組みたい人は沢山いる。

 申し訳ないとは思うけど、このクラスの人数が偶数であることを考えると、どうしてもわたしも誰かと組まないといけない。

 だからせめて、足を引っ張らないようにしないと!

 わたしは気合いを入れ直して、再度、実習に取り掛かった。

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