ダーク・ファンタジー小説
- Re: この馬鹿馬鹿しい世界にも……【※注意書をお読みください】 ( No.166 )
- 日時: 2022/05/30 06:44
- 名前: ぶたの丸焼き ◆ytYskFWcig (ID: wtNNRlal)
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「まず、【浮遊魔法】というのは、どの属性にも属しない、【非属性魔法】に分類されるの」
き、急に難しそうな話になったよ。
「だから、どんな属性に適していようと、魔力さえあれば誰でも使える魔法なのよ。ほら、ましろでも使えるでしょう?
ああ、違う違う。ましろを貶しているんじゃないの」
わたしがむっとしたのを察したのか、モナがすぐに言葉を付け足した。
「ましろの適性は【回復系統魔法】に限定されているでしょう? だから、使える魔法がかなり制限されてる。でも、そんなましろでも使える。それが言いたかったの」
確かに、そう言われてみたら、そうだ。【浮遊魔法】が使えないと、ほうきにすら乗れない。
「【浮遊魔法】の仕組みはとても単純で、まず、作用させる対象の物質に自分の魔力を馴染ませて、自分の【支配下】に置くの」
「【支配下】?」
わたしはモナの言葉の意味がわからず、首を傾げた。
なんだか、聞いたことは、あるような気がするけど。
「【支配下】というのは、『術者が自分の力を作用させられる範囲』のことで、それは領域だったり物体そのものだったりするの。ましろの場合は『魔法をかける生物』が【支配下】に置ける対象ね」
ふむふむ。
うん?
「『領域』が【支配下】って、どういうこと? 物に魔法をかけることはわかるけど、『領域』ってなに?」
「そうねえ、これね、実は説明が難しくて、概念としての違いしかないの。
例えば、ましろが学校の教室にいて、クラスメイト全員に魔法をかけるとするでしょ? そのときに、魔法を『空間にいる全員』にかけるのか、『クラスメイト一人一人』にかけるのか、術者の意識の違い……うーん、ね? 難しいでしょ?」
うん。全然わからない。
「本来、領域そのものに作用させることの出来る魔法を使うのは神々だけだとされていて、その魔法がどんなものなのか、全く情報が残っていないのよ。ただ『そういう魔法が存在した』とだけ伝わっているの」
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