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ダーク・ファンタジー小説
- Re: この馬鹿馬鹿しい世界にも……【※注意書をお読みください】 ( No.170 )
- 日時: 2022/06/01 06:47
- 名前: ぶたの丸焼き ◆ytYskFWcig (ID: 1Lh17cxz)
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えっ、なに!
わたしは、急に鳴った大きな音にびっくりして、体が固くなった。
動けない。
「私が様子を見てくるから、ましろはそこに」
「真白!!」
モナの声に被さるように、外の音の主から声がした。
わたしの、名前?
声から察するに、どうやら女性のようだった。
そしてその女性の声を聞いた瞬間、モナの顔つきが変わった。
「アイツ!!」
見ると、キドまで毛を逆立てて、玄関のある方向を見ている。
「ふ、ふたりとも、どうしたの?」
わたしは何が何だかわからなくて、とにかく情報を求めた。
「あとではな」
低い声でモナが言った。でも、やけに中途半端だ。
「……あなたのお母さんよ、ましろ」
そして、意を決した、というような声で、モナが、わたしに告げた。
その言葉は、わたしにとっては強烈すぎて。
頭に固いものを強く打ち付けられたような感覚がして。
わたしはよろよろと後ずさった。
意味はない。無意識に、体が動いたのだ。
がたんっ
体が机にあたって、わたしはそのまま、崩れ落ちた。
「ましろ!」
モナが慌てて駆け寄る。
「ごめんなさい、こんなときに言うことじゃなかったわよね。おばあさんからこのことを言うのは私に任せるって言われていたから、後回しにしてもましろが悩んじゃうかなと思って」
モナの声は、わたしには聞こえていなかった。
わたしはひたすらに、頭の中でぐるぐると回っている言葉の意味を探り、そして、呟いた。
「わたしの、おかあさん?」
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