ダーク・ファンタジー小説

Re: この馬鹿馬鹿しい世界にも……【※注意書をお読みください】 ( No.171 )
日時: 2021/06/19 20:32
名前: ぶたの丸焼き ◆ytYskFWcig (ID: JSwWcgga)

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「ましろ! おかあさんよ! あなたのおかあさんよ!!
 迎えに来たの! ここを開けて!」

 ドンドンドン!!

 ドアを叩く音は、絶え間なく、続いている。
 体は、また、動かなくなっていた。

「真白、だめよ!」

 なにもしていないのに、モナから静止の言葉を言われた。

「な、にも、して、な、いよ」

 声が震える。体が震える。

「ましろ! 行っちゃダメニャ!」

 キドがわたしの体に飛びかかった。

 だから、なにもしてないって。
 ふたりは、何を言ってるの?

「真白、気づいてないの?」

 モナが呆然と言った。
 なんのこと?
 あれ、どうしてモナの声が遠くに聞こえるの?

「ましろ! ましろ! しっかりするニャ! 魔法をかけられてるニャ!」

 ま、ほう?

「たぶん、【夢遊病】ニャ! モナ、モナ! どうしたらいいニャ?!」

 むゆう、びょう。

「きっと、どこかで【伏せ札】をされたのよ! それを取り除かないと!」

 ふせ、ふだ?
 それって、遠くにいる相手に魔法をかけるために、事前に魔法をかけておくことだよね。
 じゃあ、わたし、どこかでおかあさんにあってるの?

「取り除くって、どうやるんだニャ?!」
「魔法にかけられた『物』を取り付けられてたらそれを外して!『魔法そのもの』だったら」

 モナの声が途切れた。

「モナ! 変な物なんてなにも付いてないニャ! きっと魔法を付けられたんだニャ! どうするニャ!」

「……り」

 細い、モナの声。

「無理よ。ワタシたちの魔力じゃ、アイツの魔法は破れない」

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