ダーク・ファンタジー小説

Re: この馬鹿馬鹿しい世界にも……【※注意書をお読みください】 ( No.174 )
日時: 2021/12/22 19:23
名前: ぶたの丸焼き ◆ytYskFWcig (ID: 7xmoQBau)

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「なに」

 やや眉にしわを寄せて、花園さんはだるそうに言った。

「え、あ、いや、その」

 わたしはあわててしまって、とりあえずばたばたと両手を動かした。

「えっと、どうしてここに?」
「答える義理はない。
 黒猫が助けてって言ってきて、断る方が面倒くさそうだった」

 んんー? うん、なるほど?
 とりあえず、言いたいことは何となくわかった。
 花園さんはなんらかの理由で通りかかって、そこでキドに会ったと。

「村に向かってたら、この人に攻撃されそうになったニャ。それで一旦止まって、村に行くよりも近いと思って、お願いしたニャ」

 ああ、そういうことだったんだ。

「ちょっとまって」

 後ろからモナがやってきた。厳しい顔で、花園さんを見ている。

「真白を助けてくれて、ありがとうございます。まずは、お礼を言います」

 モナは頭を下げた。
 なんの反応も示さない花園さんに対して、少しむっとしたようだったけど、すぐに顔をわたしに向けた。

「ねえ、真白。この人が『花園さん』?」

 わたしは頷いた。

「真白と同じ、Ⅴグループなのよね?」

 もう一度、頷く。

「キドは魔法発動中、攻撃を受けるようなことはないはずよ」

 え?

「確かにキドのからだ自体は存在してるけれど、物体は通り抜けてしまうもの。少なくとも、物理攻撃は受けない。
 なら、魔法を使って攻撃されたはず。でも、魔法攻撃の方が、物理攻撃よりも難しいの。魔法攻撃を成功させるには、まず標準を、視覚的なものと感覚的なもの、そして魔法感覚的なものの三つで揃えないといけないから」

 いろいろわからない言葉が出てきたけど、それを尋ねられるような雰囲気ではなかった。

「あなた、なんなの? どうしてあなたが、Ⅴグループ、『劣等生』なの? いくら魔法の扱いが苦手でも、さっきの身のこなしからして、身体能力はかなり秀でているんじゃない?

 バケガクは、ほかの魔法学校とは違って、『魔法だけを見ている』わけじゃないんだから、せめてIVグループにいてもおかしくないわ。

 それに、魔法が苦手だっていうのもそもそも怪しいわ! 真白に付けられた魔法だって、簡単に解いてしまった! しかも、詠唱もなしで!

 あなた、いったいなんなの?!」

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