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ダーク・ファンタジー小説
- Re: この馬鹿馬鹿しい世界にも……【※注意書をお読みください】 ( No.175 )
- 日時: 2021/06/22 07:46
- 名前: ぶたの丸焼き ◆ytYskFWcig (ID: HDoKOx/N)
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「その人は、死んでない。
肋骨は一応何本か折ったし、気絶してるし、私の顔も見せてない。
真白さんは何かあっても、シラを切り通せばいい」
「へ?」
わたしは話の流れが掴めず、キョトンとした。
「あとはそっちで勝手にして」
花園さんは、女性の顔についていた化粧がうつってしまった手を振った。
すると、手についた汚れはさっぱり綺麗に無くなっていた。
無詠唱?
「はなぞのさ」
「答える義理はない」
花園さんは、わたしを睨んだわけではなかった。
ただいつものように冷たい目で、わたしを見下ろすだけだった。
わたしと花園さんとでは、花園さんの方が少し背が高い。
けれどそういった実際の身長差によって生じるもの以上の『圧』が、花園さんからわたしにかけられた。
そしてその言葉は、モナにも向けられた言葉だったらしい。こっちは確実に、花園さんを睨みつけている。
花園さんはそれをまるきり無視して、踵を返して帰ろうとしたので、わたしはそれを呼び止めた。
「花園さん!」
花園さんはだるそうにしつつも、こちらを向いてくれた。
「ありがとうございました!!」
花園さんは小さく口を開き、そして閉じて、それから、言った。
「別に」
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