ダーク・ファンタジー小説

Re: この馬鹿馬鹿しい世界にも……【※注意書をお読みください】 ( No.177 )
日時: 2021/06/24 06:06
名前: ぶたの丸焼き ◆ytYskFWcig (ID: OLpT7hrD)

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 しいんとした空間に、重たい空気が降りる。

「ナギー」

 長いような短いような時間の後、わたしは口を開いた。

「なんで、言うの」

 気づかないふりをしていたのに。
 気づいていないふりをしていたのに。

 見ないようにしていたのに。
 受け入れないようにしていたのに。

 わたしにはおばあちゃんがいて。
 わたしにはキドがいて。
 わたしにはモナがいて。

 それから、ナギーがいて。

 みんな、家族だよ。
 それでいいのに。
 それでいいって、それで、そうやって、思おうとしていたのに。

『家族』を、望まないようにしていたのに。

「知ってるよ」

 キドとモナが、目を見開く。

 わたし、わたし。

『家族』を。『家族』が。

 みんな、家族だよ。そうに決まってる。
 ねえ、わたし。

 どうしたらいいの?

 だれか、教えてよ。

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