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ダーク・ファンタジー小説
- Re: この馬鹿馬鹿しい世界にも……【※注意書をお読みください】 ( No.179 )
- 日時: 2021/06/26 10:27
- 名前: ぶたの丸焼き ◆ytYskFWcig (ID: T1/NqzP3)
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今日は、早めに教室に来てみた。わたしは登校時間が長いから、家を出るのはいつも早いけど、それ以上に。
理由は、花園さんに会いたかったから。何時に来ても花園さんはいるし、先生が「毎朝一番に登校してるわよね」と、花園さんを褒めているのを聞いたことがある。
どうしてなのかまでは知らないけれど、花園さんはいつも早く登校してくるのだ。
入口のドアについている窓から中を覗き、花園さんがいることを確認して、わたしはドアのへこみに手をかけ、横に動かした。
がららららっ
普段なら周りの人の話し声で遮られて聞こえないドアの開閉音が、廊下に響き渡った。
わたしはびっくりして、すぐに花園さんの方を見た。
花園さんは、何も変わらず、ずっと、頬杖をついて外の景色を見ている。
花園さんの席は教卓から見て一番後ろの列の窓際。他生徒から人気の席だ。バケガクはほかの学校と比べて席替えが少ない。だから、春から秋にかけるまで、花園さんはずっとあの席にいる。
一度自分の席に寄り、荷物を置いて、わたしは花園さんに近づいた。
「花園さん、おはようございます」
返事、してくれるかな。無視されたらどうしよう。わたし、返事がなかったことを気にしないほどのメンタル持ってないよ?
そう考えながら待っていると、少し間を置いて、花園さんが言う。
「うん」
花園さんは、ちらりともこちらを見なかった。
返事が来ただけ、まだまし、なのかな? いや、わたしがずっとここにいると迷惑だから、かな。
「あ、あの、お話してもいいですか?」
「嫌」
うっ。そういうことの返事は速い。
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