ダーク・ファンタジー小説
- Re: この馬鹿馬鹿しい世界にも…… ( No.18 )
- 日時: 2021/04/03 20:00
- 名前: ぶたの丸焼き ◆ytYskFWcig (ID: XURzUbRL)
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ポーションを飲みながら周りを見る。どうやら私たちが最後だったようで、他の人は雑談をしたりして悠々自適に過ごしていた。
ライカ先生がパンパンと手を叩く。
「はい、皆さん、良くできました。全員無事に終えられましたね? 三限目は出来た魔法石を持って、グラウンドに集合してください。
では、終わります」
ライカ先生が去ると、リュウがこちらにやってきた。
「よう、日向。どうだった?」
「別に」
リュウは苦笑した。
「まあ、日向が失敗するなんてあり得ないもんな」
リュウのこの台詞は、教室内の全員が理解できないだろう。
「次、一緒に行こうぜ」
「分かった」
私は短く答えると、席を立った。
「行こう」
魔法石の他には、特に持ち物はない。授業自体は魔法実技だが、殆んど魔力は消費しないので、MPポーションも必要ない。何故なら、魔法に使う魔力は既に魔法石に宿っているからだ。
魔法石をうまく使うことが出来るか。そこまでが魔法石に関する成績に入る。
グラウンドまでは結構距離がある。まず、第一館に行き靴を履き替える。そこから馬車庫に行き、馬車を借りる(Ⅱグループのリュウは馬を操ることを許可されている)。何人かのルームメイトが共に乗り、五分間かけて校舎を回る。それから森を三分間通ると、開けた場所に出る。
「着いたぞ、降りろ」
馬車は決められた場所に停め、馬も手綱を木にくくりつけた。
教師は校内でのほうき飛行が可能なので、そこには既にライカ先生がいた。
「あなたたちが一番乗りよ」
にこにこしながらライカ先生は、リュウに向かって言ったけれど、私の姿を見た途端、顔を強張らせた。
「花園さん。また笹木野さんに連れてきてもらったの? 駄目よ、たまには自分で来ないと」
リュウはその言葉に言い返した。
「先生。一人で来いと言うのは無茶ですよ。日向は馬車を使うことは許されていませんし、徒歩だとすごく時間がかかる」
「リュウ、いいよ、相手にしなくて」
私の言葉に、ライカ先生はカチンと来たようだ。
「何ですって?」
面倒だったので、私はぺこりと頭を下げると、さっさとライカ先生から離れた。
『ねえねえ、いつもあんな感じなの?』
リンが言った。
「うん」
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