ダーク・ファンタジー小説

Re: この馬鹿馬鹿しい世界にも……【※注意書をお読みください】 ( No.180 )
日時: 2021/12/22 19:27
名前: ぶたの丸焼き ◆ytYskFWcig (ID: 7xmoQBau)

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 わたしは何を言えばいいのかわからず、おろおろしながらその場で留まっている。

「なに」

 鬱陶うっとうしそうな顔を、花園さんは、わたしに向けた。

 えっ、話してくれるの?

「そこにいられる方が、迷惑」

 わたしの頭の中を読んだようなタイミングで、花園さんが言った。
 うう、まあ、そりゃそうか。

「あの、その」

 あれ、なんて言おうとしてたんだっけ。

『真白、落ち着け。友達になりたいんだろ?』

 ナギーがコソッとわたしに言った。
 すると、花園さんが眉をひそめた。怪訝そう、といった言葉がとても似合うような表情。
 こんなにあからさまに表情を変えるところは、あまり、見たことない。

「は?」

 !

 初めて花園さんに『質問』された! ……こんなことで喜ばないよね、普通。

『ぼくの声が聞こえるの? 変だなあ、君には姿を見せていないはずなんだけど?』

 そういえば、精霊は他種族に自分の姿を見せたり見せなかったりするんだっけ。

「聞こえる。見える」

 駆け引きのようにも聞こえるナギーの言葉に、花園さんは淡々と返した。

『ふうん?』

 ナギーはなにか気になりはした様子だったけど、それ以上何も言うわけでもなく、あっさりと引き下がった。

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