ダーク・ファンタジー小説
- Re: この馬鹿馬鹿しい世界にも……【※注意書をお読みください】 ( No.206 )
- 日時: 2021/07/17 11:55
- 名前: ぶたの丸焼き ◆ytYskFWcig (ID: EjFgzOZO)
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キーンコーンカーンコーン……
一日の終わりを告げるチャイムが鳴った。けれどまだ帰れない。花園さんの話を聞かないといけないから。時間が経つごとに面倒になってきたけれど、一度受け入れてしまったのだから、仕方がない。
花園さんは生徒が教室に残っているうちは話す気がないらしく、時折わたしを見つつ、まだ近寄ってくる様子はない。と同時に、笹木野さんに帰るように言っていた。わたしはてっきり笹木野さんも同席すると思っていたので、ほんの少しだけ意外だった。
教室を最後に出たのは、笹木野さんだった。と言っても、最後の最後まで渋っていた、という訳では無い。自分が帰らなければ花園さんがわたしと話せないということを理解していたようだ。最後まで残っていたのは単に、少しでも長く花園さんと一緒に居たかったからだろうか。
ぼんやりとそんなことを考えていると、やや駆け足で花園さんがわたしの元へ来た。
「ごめん、待たせて」
またもやわたしは驚いた。
「花園さんって、謝れるんですね」
心の中に留めておこうかとも思ったけど、声に出して伝えた。だって、留める必要なんてないなって思ったから。
「悪いと思えば、謝る」
「悪いって思えるんですね。わたし、そんなこと花園さんは出来ないんだと思ってました」
「……そう」
イラッとした。
なんで腹を立てないの? わたし、結構失礼なこと言ったよね?
花園さんはピクリとも表情を動かさない。顔の筋肉が動いていないのだ。
「先生は、三十分ほどしたら戻ってくる。その間、話す」
「あの!」
わたしは腹立たしい気分をそのままに、花園さんに言った。
「わかりにくいので、もっと『普通』に話してくれませんか?」
その言葉を受けた花園さんは、少しばかり目を大きくした。しかしそれをすぐに別の感情で覆った。多分その感情は、『呆れ』、だと思う。
なんで?
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