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ダーク・ファンタジー小説
- Re: この馬鹿馬鹿しい世界にも……【※注意書をお読みください】 ( No.209 )
- 日時: 2021/07/19 21:11
- 名前: ぶたの丸焼き ◆ytYskFWcig (ID: 5NmcvsDT)
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「ありがとう。助かった。色々わかった」
え、この会話でわかったことなんてあるの?
『知らない、分からない、教えない。そういったことすら『情報』になるのじゃ。他者に情報を与えたくなければ、黙秘するのが最善なのじゃよ』
ああ、なるほど。何となくわかった。……花園さんがどんな結論を導き出したのかまではわからないけど。
「あと、これはついでだから、教えて貰えなくても構わないんだけど」
少し迷ったように、花園さんが言った。
「朝日、真白さんといる時、どんな顔してる?」
わたしの体が強ばった。
まただ。また、姉ヅラしてる。八年間も朝日くんを放置して、朝日くんから両親を奪って、寂しい思いをさせて。どうしてそんな人が、朝日くんに好かれているの? 慕われているの?
あれ、『両親を奪って』? 『白眼の親殺し』は、違うんじゃなかったの?
わからない。わからない。
壊したい。何もかも、全部。
『壊せば良いじゃろ。何を迷っておるのじゃ』
レヴィアタンの声が、絡みつくように響いた。耳元での『悪魔の囁き』が、優しくわたしを包み込む。
『お主は妾の力を持っているのじゃ。あんなちっぽけな人間一人、どうってことない。本能のまま、欲望のまま、壊してしまえ』
そうか。わたしにはこの人がついているんだ。
どろりとした感情が、魂の底から湧き上がるのを感じた。じわりとペンダントが熱を持ち、小さく炎が点った。
「真白さん?」
花園さんは首を傾げ、それから目を見開いた。そして、チッと舌打ちをする。
「やっぱり、だめだったか」
ポツリと呟いた声はあまりにも小さくて、わたしの耳はその言葉を拾うことが出来なかった。
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