ダーク・ファンタジー小説
- Re: この馬鹿馬鹿しい世界にも……【※注意書をお読みください】 ( No.213 )
- 日時: 2021/07/22 11:48
- 名前: ぶたの丸焼き ◆ytYskFWcig (ID: EqqRo75U)
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ごごごっと地鳴りが重く響いた。私達がいた第三館が瞬く間にぼろぼろと、まるで砂のように崩れた。
時間が、やけに遅く感じた。周りが、やけに遅く見えた。音が、聞こえなくなった。
体を支える床が無くなったことで、私達は宙に投げ出された。床の崩壊から、遅れて私達も落下を始める。
ペンダントが青く光って、周囲に溢れた。私の視界を全て覆ったよりも少し大きく広がったあと、次はその光はどんどん形を帯びていき、光が凝縮されていった。あまりにも強い光に私は目を閉じた。
『まだお主は戦い慣れておらんな。戦闘とは、後先のことを常に考えるものじゃぞ?』
レヴィアタンの声が聞こえた。それは心話で聞こえるような頭に響く声ではなく、初めてあったあの日のような、体を包み込むように響く声だった。
ゆっくりゆっくり目を開けると、私はレヴィアタンの体の上に座っていた。いや、体と言うよりも頭かな?
レヴィアタンは私を頭に乗せて、さらに空高く舞い上がった。
えっ、空を飛べるの? 海蛇なのに?!
『今更何を言うておるのじゃ。確かに妾は海蛇じゃが、それ以前に大悪魔なのじゃぞ? 空を飛ぶくらい造作もないことよ』
レヴィアタンの体はやはり巨大で、それどころか私が部屋で見た時よりも大きくなっている。あの時は部屋にぎゅうぎゅうに押し込められつつもなんとか収まっていたが、いまは学園の上空全域に渡って覆っているように見える。バケガクは世界中を見ても五本の指に入ると言われるほど広大な面積を誇る学校なのに。
これが本当の姿なのかな?
『そんなことはどうでもよい。それより、ほれ見よ。其方の魔法が完成しつつあるぞ』
私は第三館があった辺りを見下ろした。レヴィアタンはゆっくりではあるがぐるぐると移動していて、そして第三館は跡形もなく壊れていたので花園さんを見つけるのに手間取った。
「あ、いた!」
手間取った、けれど、見つけてしまえば簡単だった。『それ』に気づかなかっただけなのだ。
私の魔法はそれはそれは派手なものだった。
第三館を貫いていた十数本の水柱が捻れに捻れ、一本の図太い、まるで大きな木の幹のようになっていた。その中心部に花園さんが取り込まれている。表情までは見えない。流石にね。ものすごく遠いから。
一つになった水柱はどんどん膨れ上がり、次第に極大の水球となった。建物四階分程の大きさで、それは延々と渦を巻いている。そしてその水球の周りを、黒い炎のようなものが取り巻いている。あれは、なんだろう?
『其方の嫉妬の念が具現化されたものじゃ。妾と契約を結んだ場合、嫉妬の念は魔力の質を底上げする。何が思い当たるのではないか?』
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