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ダーク・ファンタジー小説
- Re: この馬鹿馬鹿しい世界にも…… ( No.24 )
- 日時: 2022/01/14 20:05
- 名前: ぶたの丸焼き ◆ytYskFWcig (ID: l2ywbLxw)
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リンリンリンリンリン!
『リン、そんなに鳴らさなくても……』
『だって全然起きないんだもん!』
リンは背中の羽を力いっぱい動かして、鈴の音をならしている。
「使い方違う」
羽は空を飛ぶためのものであって、誰かを起こすためのものではない。絶対。
『あ、起きた! お寝坊さんだよ、日向!』
『リン、日向は疲れてるのよ。昨日の騒動の片付けは大変だったでしょう?』
リンはむうっと押し黙った。
「いいよ、ベル。起きる。」
『そう? 日向がいいなら、いいけど』
ベルは不服そうだったが、それ以上は何も言わなかった。
「リンは、何を食べるの?」
精霊は、一人一人が食べられるものが決まっている。ちなみに、ベルは林檎だ。
『えっとね、みかん!』
「蜜柑」
さて、あっただろうか。
『蜜柑なら、さっき戸棚で見たわ。リビングに持っていっておくわね』
「うん」
ベルはシャラランと羽を動かし、飛んでいった。
『ベルは物を持てるの?』
「《本契約》だから」
本契約は、仮契約とは違い、決められた手段を踏むか、どちらかの存在が消滅しない限り、永久にその絆が繋がっている。そして、本契約では、お互いの能力がお互いに使用出来るようになる。現世干渉もそのうちのひとつで、本来精霊は触れることが出来るものが限られている。しかし、現世干渉が可能になることによって、この世のものに触れられるようになるのだ。
「行くよ」
なぜか複雑そうな顔をしているリンに言った。今日もいつものように学校がある。さっさと用意を済ませてしまおう。
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