ダーク・ファンタジー小説
- Re: この馬鹿馬鹿しい世界にも…… ( No.25 )
- 日時: 2021/06/06 10:41
- 名前: ぶたの丸焼き ◆ytYskFWcig (ID: 9ydMs86F)
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「おはよう、日向」
靴箱のところでリュウに会った。
「おはよう」
「今日はベルと一緒なのか」
『リュウ、久しぶりね』
「そうだなー。半年くらいか?」
『四ヶ月よ』
リュウや蘭、スナタは、ベルの存在を知っている。
長い付き合いだ。もう、どれ程になるか。
「そういえば、もうそろそろじゃないか? 仮契約も終わったし」
リュウと話しながら廊下を歩く。
「《サバイバル》?」
《サバイバル》とは、魔物のいるダンジョンや森などで、一週間の間生き延びるというものだ。四人から六人のグループを各自で組み、何も持たずに魔物の巣に放り出される。
異様で異常。そう思う者も多いだろう。しかし、このバケガクは、異常者をどんな形であれ社会で生きていかせるためのことを教える学園なのだ。どんな形であれ。だから、一般的に「悪」と呼ばれるものになる者もいる。各国の政府はそうならないように、学園に圧をかけているが。そのため、卒業生は冒険者になることがほとんどだ。
冒険者となるには戦闘能力が不可欠。回復専門の治療師でも、守ってもらうだけでは命が危ない。
《森探索》も、力を養うための行事のひとつでもあったりする。
「そうそう。今回もいつものメンバーかな?」
「それ以外に何があるの」
今日中に声をかけておこうか。
彼女に。
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「真白さん」
「ひゃっ」
真白は肩をビクッと上げた。
「び、びっくりしました」
ふわっとした藍色の髪をおさげにして、おっとりとした青い目の彼女は、真白。名前で呼んでいるのは別に親しいからというわけではなく、単に彼女に名字がないというだけだ。
「《サバイバル》、一緒に来てくれる?」
「あっ、はい! もちろんです!」
はじめは言葉足らずの私の言葉を、理解するのを難しそうにしていた真白も、もうすっかり慣れてしまっている。
「よろしく。メンバーは、いつもの五人」
「わかりました」
こういう会話をしたわけだが、タイミングが良いことに、この業間休みのあとの授業は、《サバイバル》についてだった。
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