ダーク・ファンタジー小説

Re: この馬鹿馬鹿しい世界にも…… ( No.26 )
日時: 2022/02/04 07:30
名前: ぶたの丸焼き ◆ytYskFWcig (ID: ZZRB/2hW)

 3

 この授業では、各ルームの担任教師が《サバイバル》の説明をする。
 このルームの担任はターシャ先生。ほんわかした見た目と話し方、温厚な性格をしている反面、魔法学攻撃魔法科の教師であるという、なんだか闇を感じる先生だ。
「それでは、今回の《サバイバル》について説明します。
 今回は、森ではなく、ダンジョンに行ってもらいます」
 ルーム内がざわっと波を打った。
 ダンジョンでは、森などに比べるとトラップや魔物のレベルが格段に上がる。少なくとも、Dランク以上の冒険者くらいの実力がなければ、攻略はおろか、生きて帰ることはできないだろう。
 ターシャ先生は、大きな紙を取りだし、黒板に張り付けた。
「今回行くのはここ、[ジェリーダンジョン]。大陸サードの最北の海岸から、さらに沖に出た場所にあるダンジョンです」
 海か。
 同じことを思ったらしく、リュウがこちらを見た。私は肩をすくめ、それに答える。
 蘭は海が嫌い……泳げないのだ。
「そして今回は、ダンジョンを攻略してもらいます!」
 ターシャ先生がはっきりとした口調で宣言した。

 ザワザワッ

 ルーム内で起こる声が大きくなった。
「はーい、静かに」
 ターシャ先生がパンパンと手を叩き、自分に生徒の注意を向けた。
「大丈夫。私たち教師もいつもより多く《サバイバル》に同行します。それに、最北の国[ノルダルート]とも連携を取り、いざというときは騎士団が駆けつけてくれることになっています」
 これは、バケガクならではの利点だろう。この学園は各国が協力しあって設立したものだ。バケガクの行事では、ほぼ全ての国が協力する手筈になっている。
「それに、[ジェリーダンジョン]はレベルもそんなに高くありません。Cクラスの皆さんなら、絶対に攻略できます!」
 バケガクでは、AクラスからGクラスまで、クラスがわかれている。能力とバケガクに在籍している年数でクラスがわかれる。私はここにいて長いので、Cクラスというハイクラスにいるのだ。何度かリュウたちとクラスが離れたこともあったっけ。
「来週の月曜日までにCクラスでメンバーを決めて、私か専属鑑定士のロットさんに、いまから配る紙の欄を全て埋めて、提出してください」

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