ダーク・ファンタジー小説

Re: この馬鹿馬鹿しい世界にも…… ( No.27 )
日時: 2021/04/23 18:10
名前: ぶたの丸焼き ◆ytYskFWcig (ID: wECdwwEx)

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「花園さん!」
 ……またか。
 《サバイバル》の説明が行われて二日。あれから大勢の人に呼び止められる。
「笹木野がどこにいるか知らない?」
 ほら、やっぱりこの件だ。
「知らない」
 その男の子は肩をおとして、去っていった。
 ダンジョンで生き残り、攻略するとなると、メンバーにハイレベルな人がほしいと誰もが思うだろう。実際、そうだ。
 このCクラスにはⅠグループがいない。つまり、リュウや蘭を含む数少ないⅡグループの生徒を、皆が狙っているわけだ。私たちはいつも同じメンバーで《サバイバル》に参加する。五人中、二人がⅡグループだ。それなら一人もらおうと、クラス中の人がやってくる。スナタも同じ状況だそうだ。
 さらに、今日が金曜日であることも関係している。週末なので、今日を逃すとあとがない。参加表は月曜日の朝が提出期限だし、土日に二人に会えるはずがない。リュウは家の場所を知られていないし、蘭は学生寮暮らしだけど、こういうときは、時間外外出届を出して、避難しているからだ。
 二人は連日逃げ回っていて、ろくに話が出来ていない。私とスナタで何とか話をまとめようとしているが、効率が悪すぎる。
 仕方ない。あれを使うとしよう。
______________________
 私は帰宅し、ステータスを開く前にそれを開いた。
「メンバーチャット、オープン」

 ふおん

 葉っぱのような優しい緑が部屋を包んだ。
『《サバイバル》の件について話す』
 私はそう打ち込んで、チャットを閉じた。
 みんなが来るまで時間がかかる時やそうでない時もある。ある程度の頻度で確認する必要があるが、いちいち詠唱が必要なので、面倒臭いのだ。
「ステータス・オープン」
 今度は爽やかな青が部屋を包む。

『【名前】
  花園 日向

 【役職】
 ○○○ level???(✕✕✕)

 【職業】
 ・魔導士 level 58……

 【使用可能魔法】
 ・光属性
  └拘束類
   └光鎖……
 ・闇属性
  └拘束類
   └沈意……
 【スキル】
 ・鑑定 level 33
 ・察知 level 40
 ・索敵 level 42
 ・精眼 level 37……

 【称号】
 ・精霊に愛されし者……』

 うん。変化無し。

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