ダーク・ファンタジー小説
- Re: この馬鹿馬鹿しい世界にも…… ( No.31 )
- 日時: 2022/11/06 14:56
- 名前: ぶたの丸焼き ◆ytYskFWcig (ID: Ze3yk/Ei)
8
それだけ。
……だった。
ズリ……ズリ……
体を引きずる音。
スライムか。
地を這う音がするということは、G級スライムだな。
スライムというのには、三つ種類がある。
一番弱いのが、この〈G級スライム〉。一般に「スライム」と呼ぶのは、ほとんどこれを指す。攻撃力0。防御力0。倒しても獲得経験値はたったの1。ただし、群れになると合体し、〈大スライム〉となることがある。すると自らの死と引き換えに【自爆】によって相手にダメージを与えることが出来る。かすり傷程度ならダメージは5、もろに受けても15しかHPは削れない。
ただの雑魚だ。
二つ目は、〈E級スライム〉。〈G級スライム〉よりも液体に近い見た目をしている。触れるとその部位が溶ける。火属性で攻撃すると、爆発する。移動するとそのあとに体液が残る。もちろんそれも触ると溶ける。色は紫が多い。
一番強いのは、〈C級スライム〉。ピョンピョンと跳ねながら移動するので、ベチャベチャとうるさい。見た目としては、〈E級スライム〉がゼリーになったようなもの。固体と液体の中間辺り。触ると溶けるというものに加え、自分の体の一部を飛ばしてくる。色は赤紫が多いが、〈E級スライム〉と区別できる者はそういない。
〈E級スライム〉と〈C級スライム〉はレアな魔物で、とりあえずこの[ジェリーダンジョン]にはいないことは確かだ。
さて。
目の前にいるスライムの色は青。〈G級スライム〉の色は周囲の魔素によって変わる。ここは【水】のダンジョン。何の異常もない、ただのスライムだ。
なら、時間をかける必要はない。
私はスライムに近寄った。
ズリ……
スライムは私から距離を置こうとしたが、遅い。
パンッ
私はスライムを素手で叩いた。これでもう殺せた。あっけない命だ。
スライムだったものの粘液をつかむ。
魔物は物理攻撃で倒すと、≪魔石≫にはならずに死骸が残る(ペリットを倒したとき、エールリヒは剣に風魔法【速度上昇】をかけていた)。
スライムの粘液など、特に使い道はないが、売れることは売れる。持って帰るとしよう。
9 >>32