ダーク・ファンタジー小説
- Re: この馬鹿馬鹿しい世界にも…… ( No.44 )
- 日時: 2021/01/03 07:00
- 名前: ぶたの丸焼き ◆ytYskFWcig (ID: jBbC/kU.)
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「ねえ、呆気なさ過ぎる気がするんだけど?」
スナタが私に言った。
私たちの目の前には、巨大な扉。巨大とは言っても、うん。私たちの背の五倍くらいだろうか。ほんのすこしの、人が一人通れるくらいの隙間が出来ている。
「私たちが最後尾」
「だって、それにしたって、面白味が無さすぎるよ!」
駄々っ子のように、スナタは手をバタバタさせた。
他のグループは、もう下の階に行っていることだろう。その証拠に、各フロアを守っている[層の番人]がおらず、所々に戦闘のあとがある。
「どうする、下に行くか? それとも、ここで一晩明かすか?」
リュウが全員に問いかけた。
「下は魔物のレベルも上がるし、明日にしようぜ」
蘭の言葉に皆が賛成し、夜を明かす準備が始まった。
「なんか、〈ジャンカバ〉に遭遇できてラッキーだったね」
スナタが焚き火のために≪ジャンカバの薪≫を組み立てながら言った。
「そうだな。でも、いつか底をつくだろうから、その時はどうするか、だな」
「また出てくるよ」
スナタからややはなれたところで、私と蘭は≪ジャンカバの丸太≫を薪にしていた。真白はそれを運ぶ係だ。重いのか、よたよたしているが、不器用で組み立てることが出来ず、丸太を割るのは言わずもがな。リュウは見回りがてら、食料調達に行っている。
「今思うと、〈ジャンカバ〉を全部一気に倒さなくてよかったね。お陰で薪が手に入ったわけだし」
スナタが、まるで自分の手柄のように言った。
「倒したのはリュウだろ」
「わかってるよ!
あ、二人、もういいよ。薪が組めた」
私と蘭は、丸太を割る手を止めた。
「よし、じゃあ、残りはおれが持っとくよ」
「よろしく」
と、その時、タイミングよくリュウが帰ってきた。
「魚釣れたぞー」
五匹の魚を素手でつかみ、両手で掲げてそれを証明する。
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