ダーク・ファンタジー小説
- Re: この馬鹿馬鹿しい世界にも…… ( No.46 )
- 日時: 2021/01/06 06:32
- 名前: ぶたの丸焼き ◆ytYskFWcig (ID: iuj9z/RI)
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「ん、んー」
スナタが起き上がり、体を伸ばした。
「三人は相変わらずの早起きだね」
まだ眠そうな、とろんとした目でスナタは私たちを見た。
まあ、寝てないから、早いも何もないけど。
「三人って。おれは見張りだから寝てねえよ。
見張りの意味なかったけど……」
蘭が私たちを見た。その目線には、恨めしさがこもっているような気がした。
スナタは首をかしげた。
「? 魔物が来なかったの?」
蘭は苦い顔をした。
「ま、そんなところだな」
そして、肩をすくめる。わざわざ言う必要はないと考えたようだ。
「他のグループがほとんど狩ってるからね。仕方ないよ」
「そうだよなあ。おれたちも、そろそろ焦らないとな」
よし、とスナタは気を引き締めるような仕草をした。
「真白、真白」
スナタに体を揺さぶられて、真白はゆっくりとまぶたをあけた。しばらくぼーっとしていたものの、だんだん目が覚めてきたようで、いきなり顔を上げ、スナタと額が衝突した。
「ご、ごめんなさい!
あの、起きるの遅くてごめんなさい!
スナタさん、ごめんなさい!」
真白はあわあわと謝罪の言葉を連呼した。
「気にしないで。
ちょっと痛いけど」
スナタは額をさすりながら言った。
「ごめんなさ」
私はリュウから≪ジャンカバの実≫が入った袋を取り、真白の口に≪ジャンカバの実≫を放り込んだ。
「見てて気分が悪い」
何度も謝られると、その分空気が悪くなる。少なくとも、良くはならない。
「……ごめんなさい」
まあ、そういうしかないか。
「日向、言い方があるだろ?」
リュウがなだめるように私に言った。
他の言い方。
「うん」
あるのは知ってる。だけど、それが何なのかはわからない。
わからないから、使えない。
「まあまあ。朝めし食って、さっさと行こうぜ。時間がもったいねえよ」
蘭は私の手から袋を取り、みんなに二粒ずつ渡して回った。
少ない朝御飯。これで、みんなは戦えるのだろうか。
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