ダーク・ファンタジー小説

Re: この馬鹿馬鹿しい世界にも……【※注意書をお読みください】 ( No.93 )
日時: 2021/04/25 08:57
名前: ぶたの丸焼き ◆ytYskFWcig (ID: AUvINDIS)

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 タッタッタッ

 廊下を駆ける音が、扉越しに聞こえる。
 それが唐突にピタリと止まり、きっちり十五秒後、扉が叩かれた。

 コンコンコン

「入りなさい」

「失礼します!」
「失礼します」

 入ってきたのは、蘭とスナタだった。
 二人一緒か、いつも思うけど、仲が良いな。
「CクラスⅢグループ、教室番号三◯四、出席番号十六番、スナタです」
「CクラスⅡグループ、教室番号三◯四、出席番号一番、東蘭です」
「良く来たね。でも、廊下は走らないようにね、スナタ君。
 さあ、あとは花園君だけだよ。いつまでも駄々をこねてないで。
 さあ」
 蘭がおれに、こそっと耳打ちした。
「もしかして、日向、挨拶してないのか?」
「たぶん。ちなみに、おれよりも先に来てた」
「はは。安定してるな」
 日向は、流石におれたちを待たせるという気はないらしく、しかし渋々といった様子を隠す素振りも見せずに、淡々と言った。
「Cクラス、Ⅴグループ、教室番号三◯二、出席番号十八番、花園日向」
「です、は?」
「です」
「うん、もういいや。これ以上彼等を待たせると、何故か君が怒るからね。
 君がさっさと言えば済む話なのに」
「本題」
「はいはい」
 ひとしきりやり取りを終えて気が済んだのか、学園長はいきなり、本題に入った。

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