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ダーク・ファンタジー小説
- Re: この馬鹿馬鹿しい世界にも……【※注意書をお読みください】 ( No.95 )
- 日時: 2021/04/25 08:59
- 名前: ぶたの丸焼き ◆ytYskFWcig (ID: AUvINDIS)
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「どうぞ」
「失礼します」
学園長の言葉を受け、入ってきたその人物を見て、おれたちは脇にそれた。頭を下げた状態で、静止する。
「AクラスのⅠグループ、教室番号一◯一、出席番号一番、エールリヒ・ノルダン・シュヴェールトです」
どうでも良いが、一が四つもある。どうでも良いが。
「やあ。早かったね」
学園長の言葉からすると、どうやら、彼の登場はあらかじめ知らされていたものらしい。
ならさきに言え。
同じ考えに至ったのであろう日向から、そんな雰囲気が漂ってきた。
同感だ。おれたちは、願わくば、この人たちにはなるべく遭遇したくない。
おれたちの関係は、『一般的には』不自然だからだ。
「AクラスのⅡグループ、教室番号一◯一、出席番号二番の、エリーゼ・ルジアーダです」
おれはちらりと、ノルダルート国王太子と、ルジアーダ伯爵令嬢を見た。
ばちっと目があった。学園長と話している王太子ではなく、端末、情報を効率良く共有、整理、管理するために作り出されたものを持った、令嬢と。
ぱっと目をそらす。しかし、ルジアーダ嬢はおれに興味を示したらしく、歩み寄ってきた。
「こんにちは、笹木野さん。頭を上げてください」
名指しで声をかけられては、無視するわけにもいかない。
おれは顔を上げて、まっすぐに、ルジアーダ嬢を見た。
「お久しぶりです、ルジアーダ嬢」
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