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ダーク・ファンタジー小説
- Re: この馬鹿馬鹿しい世界にも……【※注意書をお読みください】 ( No.96 )
- 日時: 2021/04/25 09:07
- 名前: ぶたの丸焼き ◆ytYskFWcig (ID: AUvINDIS)
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日向は表情ではわからないが、蘭とスナタは少なからず驚いたようで、目を丸くしている。
それはノルダルート王太子も同じなようで、こちらを見た。
「えっと、二人は、顔見知りなのかな?」
ルジアーダ嬢は、頷いた。
「はい。私の国[エンディナーメモス]は、[黒世界]の大陸フィフスにとても近い、島国です。そのため、繋がりの強い国から、大陸フィフスとの交易の国として、よく利用されています。私の父もしばしば直接交易の任を任されていて、幼い頃に何度か、私も現場に同行したことがあるのです。
彼とは、そのときに出会いました」
おれは、なにか、違和感を覚えた。
なんだ?
ああ、そうか。
『説明口調』なんだ。
どうしてだ?
ルジアーダ嬢の国が[エンディナーメモス]であることも。
大陸フィフスが[黒世界]に位置付けられていることも。
[エンディナーメモス]が大陸フィフスとの交易の場であることも。
ルジアーダ嬢の父上が、その任を任されていることも。
次期国王の立場なのなら、『知っていて当然のこと』なのに。
「笹木野君は、たしか、〔邪神の子〕と呼ばれているんだっけ? それで、祖父が、カツェランフォードの」
「カツェランフォートです」
ルジアーダ嬢が、こそっと耳打ちした。
「……カツェランフォートの現当主」
「お互いの交易の任を任された回が重なり、なおかつ、現場に連れていってもらった回が重ならないと会えなかったので、会った回数はさほど多くありません」
やはり、違和感。
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