ダーク・ファンタジー小説

Re: この馬鹿馬鹿しい世界にも……【※注意書をお読みください】 ( No.97 )
日時: 2021/05/01 07:37
名前: ぶたの丸焼き ◆ytYskFWcig (ID: yV4epvKO)

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 日向なら、なにか知っているかもしれない。でも、人目があるから、聞けない。

【鑑定】してみるか。

 唐突にその考えが浮かんだ。
 うん、そうしよう。
 おれは視線をノルダルート王太子に向けた。

【鑑定・対象:エールリヒ・ノルダン・シュヴェールト】

 ぶうんと音がして、おれの中に、情報の渦が流れ込む。
 青い光の中に取り込まれるような感覚。映像、文字、感情。様々な情報の中から、おれは、目当ての文字の羅列を暗記。
 気配を悟られる前に、渦の中から自分の『気』を抜いた。

『記憶』と『暗記』は、違う。
 おれは『文字の羅列を覚えた』だけで、『内容を理解』はしていない。
 暗記したノルダルート王太子のステータスを頭の中で映し、改めて、その内容を『意識の視界』の中にいれた。

『【名前】
  エールリヒ・ノルダン・シュヴェールト

 【種族】
  人間〈ノルダン人〉

 【役職】
  ノルダルート国王(仮固定)

 【職業】
  ・魔術師 level 97
  ・剣士  level 103

 【使用可能魔法】
  ・風属性
   └風魔法
    └補助類
     └加速……

 【スキル】
  ・寒冷耐性 level32
  ・察知   level12
  ・索敵   level11
  ・精眼   level 3
  
 【称号】
  ・王族の欠落品』

『仮固定』に、重みを感じた。
 それはつまり、それ以外の役職を認めないということ。
 役職というのは、特別な職業だ。次期国王になれなければ、その枠はなくなる。

 この人の宿命だ。

 おれは意識を切り替えた。
 特に、おかしな点はないように感じる。職業が二つだけなのも一般的で、三つあると重宝されるのを考えると、おれたちが異常なのだ。今更だけど。
 スキルが少ないのも、〈人間〉の特徴。精眼があるのは、珍しい。

 一つ気になるのは、『王族の欠落品』。

 次期国王なのに?

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