ダーク・ファンタジー小説

Re: [君が亡くなって] ( No.12 )
日時: 2020/12/20 13:14
名前: 水月ほたる (ID: K.LxVVE2)

12話_


12月13日
雪が降り始めた。

とても寒い。

今日。生徒達に話すことにした。
翔に対しての答えという意味も込めて。


ー先生が教師になった話ー


黒板に1文字1文字丁寧に書く。

「せんせいがきょうしになったはなし?」

『あぁ。速水から聞きたいって数ヶ月前に言われてな。
 2学期も終了間近だから話しておこうと思って。』


「ふーん。まーいいや」
「これで授業潰れるとかラッキーw」
「それな」
「早く早くー」


『あぁ分かった分かった。』


始まり




              終わり  ←(黒板にこのように書いた)


『先生は、18歳の時に初恋の相手に出会った』

「おっそーw」
「え?そうゆう感じ?」

『だけど3年前、その子の男友達から電話がかかってきたんだ』

『死んだって』


「えー?」
「エイプリルフール?」

『よくよく話を聞くと白血病だったらしいんだ
 よく早退してたから病気かなとは疑ったよ』

『因みに女の子な』


「いや、それぐらい誰でも分かるわw」

『とっても明るい子で 「無視された」…ごめんごめん。
 学年1の美人だったよ。』




『実際、先生の夢は医者でな。学力が足りなくて行けなかったんだ。
 だからさお前達に医者になって欲しくて。』





『医者は頭使うだろ?』

『理系を教える為には自分が分かってたら無理だろ。
 間違える部分がわかってたら教え易いし。』




『つまり、先生が教師になった理由は












 お前達が誰かを救えるような大人になってほしいからだ。』


『わかってくれたか。速水含めて他全員。』






「先生_」



涙を溜めた生徒が声をかける。

「私、頑張ります。勉強、頑張ります。」


「俺も!これからちゃんとやる」

「「「「「私も/俺も」」」」」


『あはは…先生嬉しいよ』


生徒がここまで自分の話に本気になってくれるとは
思って居なかった。

いつか話したが

結衣ちゃんはこんなに嘆いても

戻ってくる事はない。


もちろん俺の知らないどこか遠くの人も。
死んでしまったら帰ってこない。


人の命はとても尊いものだ。



俺も、いつか誰かの役に立ちたい。



卒業まで生きていたい。